弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京女子医大病院,ラミクタール錠を1日200ミリグラム処方後TENで死亡した事案で提訴される(報道)

報道よると,東京女子医大病院で,2014年ラミクタール錠を過量投与された患者が死亡した件で,遺族が東京女子医大病院を提訴したとのことです.

この件は,私が担当するものではありません.遺族の代理人は,安東宏三先生です.

東京女子医大病院で,2014年7月,43歳の女性が脳腫瘍を再発した疑いがあると診断されました.
患者は同年8月に痙攣発作があり,東京女子医大病院の医師は,これまでの抗てんかん薬に加え,別の抗てんかん薬ラミクタール錠を1日200ミリグラム処方し毎日飲むように指示しました。
薬剤師から処方量の確認がありましたが,医師は処方量を変更しませんでした.
患者はTEN(中毒性表皮壊死症)を発症し,追加投与は約2週間で中止されました.
患者はTENのために2014年9月9日に亡くなりました.

これは,通常の8倍量で,2日に1回飲むべき薬ですから,添付文書の定める用法用量に反しています.「日本医療安全調査機構」の報告書は,「最良の選択肢とは言い難い。選択するのであれば、リスクなどについて本人と家族に十分に説明し同意を得ることが望ましい」としたとのことです.
ラミクタール錠の投与により重篤な皮膚障害があらわれることが報告されており,添付文書の,「警告」,「用法・用量に関連する使用上の注意(1)(3)」,「重要な基本的注意(1)(2)」,「重大な副作用」の項にはそのことが記載されています.
定められた用法・用量を超えて投与した場合,重篤な皮膚障害の発現率が高くなります.

添付文書に定められた用法・用量を超えて投与した場合,添付文書から過失が推定され,その事案におけるその用法・用量について臨床医療上の合理性が証明されない限り,過失が認定されます。

定められた用法・用量でも一定の割合で副作用が発現しますので,過失と副作用の発現との間の因果関係が問題になりますが,定められた用法・用量を超えて投与した場合重篤な皮膚障害の発現率が高くなることと,用法・用量についての逸脱の程度が大きなことから,過失と発現した副作用との間に因果関係があるものと考えられるでしょう.

以上から,東京女子医大病院の医師の過失があり,過失と患者の死亡との因果関係があると思われます.

朝日新聞「抗てんかん薬多量投与で死亡 東京女子医大を提訴」(2017年3月28日)ご参照
朝日新聞「抗てんかん薬を多量投与、女性死亡 東京女子医大病院」(2016年7月25日)ご参照


谷直樹

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# by medical-law | 2017-03-29 02:59 | 医療事故・医療裁判