弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

後期高齢者医療制度に代わる新高齢者医療の問題

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今日(1月2日)のお昼のNHKニュースで,「新高齢者医療 法案提出に曲折」と述べていました.

「厚生労働省は、後期高齢者医療制度を廃止し、新たな制度を実施するための法案をことしの通常国会に提出する方針ですが、民主党内や地方から、これに反対する意見が出ており、法案の提出までには、う余曲折が予想されます。

厚生労働省は、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度を廃止し、平成25年3月から新たな制度を導入する方針で、先月、75歳以上はサラリーマンに扶養されている人たちなどを除いて、自営業者らが加入する国民健康保険に入るとした最終案を取りまとめました。厚生労働省は、新たな制度を実施するための法案をことしの通常国会に提出する方針ですが、民主党内からは、案の中に70歳から74歳までの医療機関での窓口負担を引き上げる内容が盛り込まれていることに、高齢者の負担を増やすべきではないと反対する意見が出ています。また全国知事会も、制度の安定的な運営に必要な国費の拡充が不十分だと反対しています。厚生労働省は、今月地方側と協議を行い、理解を得たいとしていますが、法案の提出までには、う余曲折が予想されます。」

後期高齢者医療制度は,75歳以上の高齢者を別枠にして.公費5割,現役世代4割,75歳以上の高齢者1割という負担割合を定めた制度です.
政府は,後期高齢者医療制度を廃止し,新しい高齢者医療制度をつくろうとしていますが,これには,以下の問題があります.

後期高齢者医療制度は,75歳以上の高齢者を別枠にして,75歳以上の高齢者の負担と給付を関連付けようとするものです.新しい高齢者医療制度もそこは基本的に変わっていません.

新しい高齢者医療制度は,一言で言うと,国が負担する医療費を減らし,家計と地方自治体の負担を増やそうという内容です.
70~74歳までの負担は倍増となります.
75歳以上の低所得者の保険料軽減措置は段階的に縮小されます.
現役世代の1人当たり保険料は増加します.

さらに,2018年度から国保の都道府県単位化を掲げています.これが実現すると,都道府県が責任を負う(国は責任を負わない)ことになります.

新しい高齢者医療制度は,国が負担する医療費を減らすことはできますが,そのしわよせが家計と地方自治体にきます.
医療を受ける権利が実質的に侵害されるという事態になりかねません.
後期高齢者医療制度廃止は,民主党のマニフェストですが,廃止後の制度については,医療を受ける権利が侵害されることのないように,論議を尽くしていただきたいものです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-01-02 18:23 | 医療