弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

『小児救急』

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今日は今年初めての出張でした.新年早々お時間をとっていただいた先生には,心から感謝申し上げます.

鈴木敦秋著『小児救急』(講談社文庫)を紹介します.
著者は,ジャーナリストです.

◆ 3つの命

これは,小児医療の問題によって失われた3つの命の物語です.

1 激務によってうつ病を患い,1999年8月16日に自殺した44歳の小児科医中原利郎さんの命.
2 夜間に小児科医のいる病院がみつからす,2002年9月4日に亡くなった7か月の頼ちゃんの命.
3 救急病院で誤診と引き継ぎミスのため,2003年3月9日に亡くなった5歳の理貴ちゃんの命.

これらは,1999年から2003年の出来事ですが,残念ながら,地域,病院,医師によっては明日にも起こりうることです.

◆ 飯倉洋治先生のこと

小児には
1 発達があり,
2 未来があり.
3 病気が治る可能性がある

と飯倉洋治先生が講義する場面も描かれています.

飯倉先生が胃がんで亡くなる前の年に,飯倉先生から,若く血気盛んな弁護士鈴木利廣先生が同じように若く血気盛んな飯倉先生の研究室を訪ねたときのエピソードを拝聴したことを思い出しました.

◆ 小児医療に人権を

「第4章私たちのできること」では,
日本小児科学会の空白の14年の後,中澤誠先生が,小児救急プロジェクトチームを立ち上げ,飯倉洋二先生,藤村正哲先生,市川光太郎先生,田中哲郎先生,阪井裕一先生ら錚々たるメンバーを集めたことも書かれています.
2004年12月5日の日本小児科学会主催のフォーラムで,中澤誠先生に呼ばれた(第1章から第3章の)遺族は,それそれ10分ちかくスピーチします.

命のために私たちができることは何か.
小児医療における人権保障の視点,人権保障のための医療政策の視点から,本書に書かれた出来事をみていくと,一本の道筋がみえてくるように思いました.

昨今,医療訴訟が疲弊した医療現場をさらに疲弊させる,という主張がなされることがありますが,それなら訴訟以前に誠実に対応し解決すべきで,泣き寝入りを強いるのはおかしく,さらに声をあげた被害者をバッシングするのは,正しい道ではありません.医療事故が表に出ることを阻止しても,医療事故自体は減りません.医療を良くするためには,患者の力が必要です.

谷直樹
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by medical-law | 2011-01-06 22:43 | 医療