弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

イレッサ訴訟,朝日と毎日の社説

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◆ 朝日新聞社説

朝日新聞は,1月8日,「イレッサ訴訟―和解に向け、協議進めよ」という社説を掲載しました.

「イレッサの場合、死者の数は他の抗がん剤と比べても極端に多い。発売から2年半後に使用方法が制限されると、被害は急速に減った。製造から承認、医療現場への周知、市販後の追跡と監視。それぞれの局面で省みるべき点があったのは疑いない。」

 「薬害肝炎を機に厚労省に置かれた検証委員会は昨年、医薬品行政の見直しや企業のあり方について提言をまとめた。内容は多岐にわたるが、それらを貫くのは生命・健康の尊重であり、被害の予防を何よりも優先させて迅速に対策を講じなければならないという、至極当然の考えである。

 よく効く半面、使い方を誤れば副作用も強い。そんな新しい抗がん剤はこれからも登場するはずだ。がん治療薬を対象外としている現在の健康被害救済制度や、専門医の養成についても検討を深める。提言の精神を生かし真摯(しんし)できめ細かな対応こそ、多くの被害者に対するせめてもの報いである。」
とまとめています.

◆ 毎日新聞社説

毎日新聞は.1月9日,「薬害イレッサ訴訟 がん患者の命の重さ」という社説を載せました.

「イレッサの承認や安全対策に携わった医師の中に自ら関係する大学やNPOに同社から多額の寄付金を受けたり、同社主催の講演会などに関係していた人がいたことが裁判で明らかにされた。企業との経済関係が医薬品の評価をゆがめるおそれがあることは以前から問題にされており、国内外の医療指針などで『利益相反関係』を排除すべきだと指摘されている。イレッサの承認審査にどのような影響があったのか、なかったのか徹底した検証が必要だ。

 抗がん剤の市場は6000億円以上で、医薬品の中で突出して大きい。イレッサも毎年130億円以上を売り上げている。その一方で、製薬各社の拠出金で運営されている医薬品副作用被害救済制度では、がん患者を対象から外している。がん患者は薬の副作用で亡くなっても仕方がない、とでも言うような扱いだ。

 『肺がん患者に残された時間は本人と家族にとって極めて貴重である』。和解勧告の詳しい内容は明らかにされていないが、裁判所はそう指摘したという。がん患者の命の重さをもう一度考える機会にしたい。」
とまとめています.

イレッサにも,他の薬害訴訟で指摘されたのと共通の問題があります.
薬害を根絶するために,医薬品行政の再構築が必要です.

谷直樹
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by medical-law | 2011-01-09 13:54 | 医療事故・医療裁判