弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ソウル高裁のタバコ訴訟判決

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朝鮮日報は,「喫煙と肺がん発症との因果関係認めるもKT&Gの責任認めず」と報じています.KT&Gは,旧韓国たばこ人参公社で,日本のJTに相当します.

大韓民国の裁判所は,米国なとの裁判所とは異なり,タバコの害について消極的な対応をしてきました.ソウル高裁民事9部(ソン・ギムン裁判長)の2月15日の判決も,基本的にはその流れを踏襲していますが,一歩踏み出し,喫煙によって肺がんになったと認定しています.

「高裁は判決理由について『長期間にわたる喫煙と肺がんの発症には疫学的な因果関係が認められ、原告の肺がん患者7人のうち4人は喫煙によって肺がんになったことが認められる。しかし、KT&Gがたばこに依存させる目的で情報を隠したり、ニコチンの量を改ざんするといった違法行為をしたりしたと考えるのは困難だ』と述べた。だが、高裁は『喫煙のために(肺がんを)発症したことが認められる以上、別個の訴訟を起こし、KT&Gの違法行為が認められれば、損害賠償を請求できる可能性がある』と付け加えた。」(朝鮮日報)

情報隠蔽,改ざんという事実に基づかない請求原因なら,損害賠償責任が認められる可能性がある,ということでしょう.つまり,情報隠蔽,改ざんという事実の立証にかかわらず,タバコ業者として負う注意義務に照らし,予見可能性があれば,賠償責任を負う,と考えられます.

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谷直樹
by medical-law | 2011-02-16 22:25 | タバコ