弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

全日本民医連「2010年死亡事故調査<第5回>」報告

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◆ 民医連の報告


全日本民医連は,3月2日,以下の報告を発表しました(民医連ホームページご参照).
■ 「2010年国民健康保険など死亡事例調査」<第5回>報告
■ 2010年死亡事例データ【I、国保短期証・資格書・無保険】
■ 2010年死亡事例データ【II、協会けんぽ・国保・後期高齢者】

国民健康保険料,医療費の窓口負担が重く,重篤に陥るまで医療にかかれない患者の実態が浮き彫りになっています.
たとえば,
● 「保険料を支払わないと保険証は渡せない」といわれた例
● 保険料を支払えず資格証明書を渡されていたが,資格証明書ではいったん10割支払う必要があり,受診を控えていた例
● 正規の国保証を持ちながらも、高額な医療費負担に耐えられず治療を拒否していた例
● 84歳の男性は1割の医療費窓口負担が重く「医療費が支払えない」とぎりぎりまで我慢していた例
いすれも手遅れでまもなく死亡しています.(新聞赤旗「民医連調査 死亡事例 患者の実態 しこり・呼吸困難も受診がまん 重すぎる国保料・医療費」ご参照)

「もはや『国民皆保険制度』とはいえなのではないか。世界に誇るべき皆保険制度は、すでに崩壊しているとの認識に立つ必要があるのではないか。」(全日本民医連「2010年死亡事故調査<第5回>」報告)とのことです.

◆ 共同通信 
 
共同通信は,「無保険で受診遅れ、71人死亡 『制度崩壊』と民医連」と報じています.

「国民健康保険(国保)の保険料を滞納して『無保険』状態になったり、保険証は持っていても医療費の自己負担分を払えなかったりして受診が遅れ亡くなった人が昨年、24都道府県で71人に上り、前年(47人)の約1・5倍に増えたことが2日、全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査で分かった。」

「71人のうち、保険料滞納は42人。内訳はまったく保険がない『無保険』が25人、滞納のため有効期間が短くなる『短期保険証』が10人、さらに滞納が続き保険証を返して医療費全額をいったん払わなければならない『資格証明書』が7人。」

「調査対象は民医連加盟の病院や診療所計1767施設で『背後にはもっと多くの犠牲者がいる可能性がある』としている。」

◆ 民医連の緊急提言

全日本民医連は,調査に基づき,以下の緊急提言を行いました.

<国保関連>
■短期保険証、資格証明書の発行はただちに中止し、すべての人に正規の保険証を交付すること
■窓口一部負担金を軽減し、少なくとも3割から2割へ軽減すること。高齢者と子どもの医療費は無料にすること。当面、国保法44条を積極的に活用すること。「無料低額診療」事業の積極的活用と拡大をはかるよう指導すること
■国庫負担を大幅増額し、誰もが「払える保険料」にすること

<社会保険>
■窓口負担の軽減をはかること。当面、3割負担は2割負担に軽減すること。高齢者と子どもの医療費は無料にすること。
■失業後再就職までの期間、協会けんぽ加入資格を国と企業の責任で継続すること
■協会けんぽの保険料引き上げは中止すること

<後期高齢者医療制度>
■後期高齢者医療制度下での短期保険証、資格証明書の発行はおこなわないこと
■後期高齢者医療制度は即時廃止し、もとの老人保健制度にもどすこと
■新高齢者医療制度創設に関わる法律の国会上程はやめること

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谷直樹
by medical-law | 2011-03-03 12:25 | 医療