弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

non-harm principle;放射能汚染水の海への排水をやめるべきです

b0206085_8315922.jpg

今日6日午前5時38分頃高濃度放射能汚染水の流出が止まったとのことですから,5日から続いている放射能汚染水の海への排水は直ちにやめるべきでしょう.

◆ 国際法違反

政府は,今回の放射能汚染水の排水が国際法違反にあたらない,と述べています.
これは,廃棄物その他の投棄に係わる海洋汚染防止に関する条約(ロンドン条約)が陸からの排水について規制するものではないことを根拠としています.

しかし,廃棄物その他の投棄に係わる海洋汚染防止に関する条約は,領域責任の原則を広げ,船舶等からの公海上の投棄についても責任を負うとしたものです.領土からの汚染水の排水を規定していないのは,それが国境を越えて影響を与えるものであれば許されないことは領域責任の原則から当然だからなのです.

トレイル溶鉱炉事件の仲裁裁判で,領域責任の原則が確認されています.
カナダの溶鉱炉から亜硫酸ガスが排出され,アメリカの農作物に被害を与えた事案です.
仲裁裁判に付され,国家が他国に被害を与えるような方法で国土を使用したり,その使用を許容したりすることはできない,という判決が1941年に下されています.

国際環境法の基本ルールの1つに,non-harm principleがあります.
「国家は,自国領域またはその管理の下で,深刻な越境汚染や地球規模の環境損害の源を規制するために,適切な措置をとらなければならない.」というものです.

今回のは,日本領土内から日本領海内への放射能汚染水の排水ですから,領域責任の原則から,国境を越えて影響を与えるものであれば当然,環境損害防止に関する日本国家の責任が問われます.

松本外相の説明は,放射能汚染水の排水が国境を越えて影響を与えるものではない,という前提にたつものですが,単に高濃度のものに比べて低濃度というだけであって,排水量も少なくないですから,その前提自体に科学的合理的な根拠があるか疑問です.

更新の励みになりますので下記バナーのクリックをお願いします.弁護士ブログ163サイトの順位のページに移動します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

谷直樹
by medical-law | 2011-04-06 08:17 | 脱原発