弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

被災地支援酌み,大阪高裁上垣猛判事が温情判決 

被災地支援酌み,大阪高裁上垣猛判事が温情判決 _b0206085_1928229.jpg

共同通信の配信で,「被災地支援酌み温情判決 高裁、執行猶予に」(東京新聞)という記事を見ました.

大阪高裁の上垣猛裁判長は,平成23年4月26日,大麻取締法違反事件で保釈中だった被告人が東日本大震災の被災地でボランティア活動をしていた点などを評価し,「実際に社会貢献しようとしていることが認められ、服役させるよりは社会内で貢献させるのが相当だ」として,一審大阪地裁判決(懲役1年6月の実刑)を破棄し,懲役2年、執行猶予5年を言い渡した,とのことです.

上垣猛判事は,私が司法修習生だったときの刑事裁判の教官です.司法修習生はガッキーと言っていました.厳正・峻厳な刑事裁判官の印象がありましたので,「ガッキーが温情判決?」と思ったのですが,記事を読むと納得できました.

上記記事によると,被告人の社会貢献の内容は次の通りです.

(1)  震災発生直後から短文投稿サイトを通じて被災地支援を呼び掛け,知人とともに義援金約87万円や衣類,飲料水などの救援物資を集めた.
(2)  裁判所の許可を得て公判中の4月11日に被災地に入り,仙台市にある友人宅を拠点に同市や宮城県石巻市などでボランティア活動に従事.8日間,泥のかき出しや物資の仕分け,炊き出しなどを手伝った.

被告人は,取材に「今まで悪いことばかりしてきたが,地震に接した時に『行くしかない』と思った。来週からまた被災地に行くつもりだ」と話した,とのことです.

ボランティア活動をします,と言っただけでは,おそらく執行猶予にはならなかったでしょう.保釈されている間に,裁判所の許可を得て現地入りして,実際に積極的に活動したことが評価されたわけです.上垣猛判事の判決は,単純にボランティア活動で執行猶予というものではなく,そのボランティア活動にあらわれた被告人の真摯な気持を評価したのだと思います.執行猶予判決を裏切ることなく,再び罪を犯すことのないように願います.

私は,医療事件(民事)だけで,刑事事件を担当することはないのですが,教官のお名前を拝見しましたので,感想を記しました.

谷直樹
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by medical-law | 2011-04-29 19:37 | 司法