福岡高裁で平成23年4月22日7000万円和解成立報道(麻酔・鎮静剤の投与で植物状態)
福岡高裁での和解事案が報じられています.
福岡市の病院で,平成16年に食道がんの手術を受けた患者が,術後2日間で20回以上の麻酔・鎮静剤の投与を受けた結果、心臓が一時停止するなどして植物状態となった事案です.
患者側は,薬の添付文書に「急速投与を行わないこと」と注意書きがあることから,医師側に過失があるなどと主張しました.
福岡地裁は,平成22年9月、患者側の請求を棄却しました.
福岡高裁は,医師側に過失があると判断し,和解金7000万円の支払いによる和解を勧告しました.控訴人、被控訴人双方が和解勧告を受け入れ,平成23年4月22日,裁判上の和解が成立しました.
和解条項には,病院側が事故原因を究明して再発防止に努めることや,患者が今後も浜の町病院で療養を受けられるよう病院側が協力することなども盛り込まれています.
福岡地裁医療集中部の判決が間違っていたため,福岡高裁がそれを正したわけです.
全国的に,近年,地裁医療集中部では患者側に厳しい判決が続いていますが,このように地裁医療集中部の請求棄却判決(患者側敗訴判決)を高裁が正す例がみられます.
日本経済新聞「投薬誤り植物状態」病院側7000万円支払いで和解 福岡高裁」ご参照
毎日新聞「投薬巡る医療過誤訴訟が和解/病院側が7000万円支払いで/福岡高裁」ご参照
なお、「病院の過失は認められていない」という報道も一部ありますが、7000万円という金額は過失を認めない事案で勧告されるものではありません。当然、過失を認めたと理解できます。
谷直樹
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