弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京地裁平成23年5月19日判決(胃がんの誤診)報道

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◆ 事案

相模原市の女性(54歳)が,平成18年7月,別の病院で胃粘膜の異常を指摘され,東芝林間病院を受診し,その後の検査で胃がんと診断されました.同年9月に,東芝林間病院に入院し胃の約5分の4を摘出する手術を受けましたが,摘出された胃からはがん細胞が見つからず,消化吸収障害が残りました.

◆ 判決

東京地裁民事30部は,次のとおり過失を因果関係を認め,約1260万円の損害賠償を命じました.

過失;手術前の総合診断で,胃がんと確定できる所見があるか再検討すべき注意義務を怠ったこと

因果関係:適切に再検討すれば手術は回避されたと推認され,注意義務違反と手術との間に因果関係が認められること

東京新聞「がん誤診で胃の大半摘出、相模原 東芝健保に賠償命令」ご参照

◆ 感想

通常は,内視鏡検査生検を繰り返し,がん細胞を証明するはずなのですが...

類似の例に,公立南砺中央病院で,平成18年7月,実際は胃かいようだったのに胃がんと誤診し,胃やすい臓などを摘出した事案があります.病院側は「胃かいようでも切除の必要があった」としながらも,診断過程でミスがあったことを認め,和解金700万円を支払いました.これと比べて,本件は,胃を切除する必要がなかったので,より高額の賠償が認められています.

中日新聞「富山・公立南砺中央病院 胃がんと誤診、摘出」ご参照

なお,がんとして診ていたところ,がんではなかった裁判例としてよく知られているのは,さいたま地裁平成13年9月26日判決です.肺がんの再発と思いこみ,別の疾患を見逃した例です.

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-20 09:09 | 医療事故・医療裁判