弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医師のスキルとドクターフィー

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キャリアブレインの記事「スキル高い医師「ドクターフィー」で評価を- 脳神経外科学会の小川常務理事」は,次のとおりです.

「日本脳神経外科学会の小川彰常務理事(岩手医科大学長)は5月25日、キャリアブレインのドクターアカデミー(DA)の収録で、スキルの高い医師を評価するため、「ドクターフィー」を導入して報酬に反映させるべきだとの認識を示した。
小川氏は、日本専門医制度評価・認定機構の池田康夫理事長との対談で、現在の仕組みについて、「努力して新しい知識を身に付けて技術を磨いている医師と、10年前、20年前の知識と技術で治療している医師のフィー(報酬)が同じになる」などと問題視。医師による研さんを促すためにも、技術や知識の習熟度を報酬に反映する必要があると指摘した。
また、こうした考えについて「国民の思っているところと大きく違うことはない」とも述べた。
対談は、7月上旬ごろに配信する予定だ。」


脳外科医の技術の差は歴然としています.
高度の技術を有する医師とそうでない医師の経済的扱いが同じだとしたら,確かに不合理です.

米国は,ホスピタルフィー(病院に支払う診療報酬)とドクターフィー(医師に支払う診療報酬)の二本立てになっています.
ただ,これが米国の高額な医療費にもつながっていますので,日本の厚労省はドクターフィー導入に消極的です.

スキルの差が明確になればよいのですが,それを明確にさせたがらない日本的風土のなかでは,スキルの差ではなく,年功序列,地位の上下が考慮される結果になるのではないか,という懸念があります.

また,チーム医療で行っている手術について,熟練の脳外科医1人だけがドクターフィーを受け取ることに果たして合理性があるのだろうか,という疑問もあるでしょう.

ドクターフィーを認めると,その分現在のホスピタルフィーが減らされ,病院経営が苦しくなる,という心配もあるでしょう.

スキルの差を医師の待遇に反映させることについては,病院が高いスキルをもった医師に高額の給与を支払う,という方法によっても可能という意見もあるでしょう.

今までも,患者は手術に際して,謝礼を直接医師に渡すことも多かったので,ドクターフィーが事実上支払われていたとも言えるかもしれません.もっとも,スキルではなく,教授等の地位で金額を決めていたと思いますが.

こう考えてみると,ドクターフィーを日本に導入するには,スキルの客観的評価など検討すべき問題があるように思います.

「努力して新しい知識を身に付けて技術を磨いている医師」と「10年前、20年前の知識と技術で治療している医師」の違いが,客観的に患者にみえるようになることを期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-06-06 09:02 | 医療