弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

兵庫県立加古川医療センター,病理検査の標本を取り違え,胃切除

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◆ 事案

兵庫県立加古川医療センターは,平成23年3月、胃がんと診断した男性患者(73歳)の胃の3分の2を切除しました.
胃切除手術の後,切除した部分から,がん組織が見つかりませんでした.
病理検査の標本を再確認したところ,検査技師が別のがん患者(80歳)の組織片と取り違えて標本を作製していたことが判明しました.
患者は,経過観察中で現時点で後遺症はない,とのことです.

◆ 対応

兵庫県は,平成23年6月7日,上記医療過誤を発表しました.
県立加古川医療センターは,患者に謝罪し,示談交渉を進めている,とのことです.
県病院局は「大変申し訳ない。あってはならないミスで再発防止に努める」と述べました。.

msn産経ニュース「がん誤診で胃3分の2切除 兵庫の加古川医療センター」ご参照

◆ 感想

病理検査の標本を取り違える,という医療過誤は,よく報道されています.

本件で,どうして取り違えが起こったのか,を事故を調査究明し,今後どのようにして再発を防止するのか,を検討することが大事です.
たとえば,担当者が定められた手順を守っていなかったために事故が起きたのであれば,どのようにすれば手順を守らせることができるか,を検討する必要があります.
具体的な事実を知りたいですね.

一般論ですが,同時に複数の標本を扱うとミスが起きる可能性があります.
同時進行をしないというのが鉄則です.

【追記】
毎日新聞「県立加古川医療センター:がんと誤診し、男性の胃摘出 /兵庫」は,次のとおり報じています.

「県は7日、県立加古川医療センターで3月10日、胃潰瘍の男性(73)を胃がんと誤診して胃の摘出手術をしたことを明らかにした。男性に後遺症などはないという。
 県病院局によると、事前の病理組織検査で標本を作る際、胃がんの男性(80)から切り取った組織を、誤って胃潰瘍の男性の患者番号が書かれたスライドガラスに載せてしまった。その結果、胃潰瘍の男性を胃がんと誤診し、手術で胃の3分の2を摘出したという。本来、この男性は摘出の必要はなかった。
 検査技師が組織とスライドガラスの番号を確認していなかったのが原因。摘出した胃からがん細胞が見つからなかったため、間違いが発覚した。検査は技師3人で行い、同センターでは1日に約200件の標本を作成しているという。同センターは再発防止策として、複数人での番号確認を徹底することにしている。【米山淳】
〔神戸版〕」


これで事情がよくわかりました.
標本をスライドガラスをに載せる作業手順にも問題がないか,検討する必要があると思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-06-08 01:11 | 医療事故・医療裁判