弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

菅首相,与謝野社会保障・税一体改革担当相,野田財務相が進める社会保障改革案の問題

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菅首相,与謝野社会保障・税一体改革担当相,野田財務相は,社会保障改革案について,20日の成案決定を目指す考えを改めて強調しています.
しかし,社会保障改革案は,国民の負担を増大させ,医療を荒廃させる懸念があります.

6月8日の社会保障審議会医療部会で,次の意見があったことが報じられています

「渡辺俊介委員(国際医療福祉大大学院教授)は、病院の病床の機能分化や在宅介護の充実が柱として打ち出されている一方、診療所については記述が不十分だと指摘。
相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は、高齢者の自立や自助の視点が欠けているとして、胃ろうや経管栄養の患者が増えることから、急性期病院に負担が掛かるとの懸念を示した。
委員からはこのほか、「財務省主導で、財源ありき」(山崎學・日本精神科病院協会会長)、「(受診時に定額の負担を求める)定額負担制度は撤回してほしい」(中川俊男・日本医師会副会長)などの意見が出た。」
キャリアブレイン「
「総論的」との声も- 社保審医療部会
」ご参照


日本医師会は,「「受診の際に定額を負担する制度の導入」や「医療保険の自己負担割合の見直し」については,「公的医療保険である以上,必要な財源は,広く公費や保険料に求めるべきである。すでに,日本の患者一部負担割合は,公的医療保険がある先進諸国と比べてかなり高い。これ以上患者負担が増加すれば,受診を控え,重篤化するケースも必ずや生じる」」として、反対しています.(6月1日定例記者会見

全国保険医団体連合会は,6月6日,「国民に給付削減と消費増税を一体で迫る「社会保障改革案」に断固反対する」という意見を表明しています.

「医療だけでも▽初・再診時に患者負担と別に「受診時定額負担」を導入▽市販類似薬の患者負担引き上げ▽70~74歳の2割負担▽外来受診「適正化」の名で外来患者数の5%減などを打ち出した。さらに受診が抑制され、重篤化させかねないことが危惧される。
とくに、かぜ薬や湿布薬などの市販類似薬の患者負担引き上げは、疾病の違いや使用する薬によって保険給付に差を付けることであり、かぜなどを「軽い病気」と規定し、公的保険は適用しないという考え方に基づく「保険免責制度」につながるものである。
また、「受診時定額負担」を導入することで患者負担は3割を超える。形を変えた「保険免責制度」である。2002年の改定健康保険法の附則2条には、保険給付は「将来にわたり100分の70を維持する」と明記されており、法律を形骸化させる重大問題である。しかも、制度が一旦導入されれば、負担額の引き上げが容易に行われるようになることは、これまでの歴史からも明らかである。
国民の受療権を制限し、「疾病の自己責任」と「受益者負担」主義を強める患者負担の引き上げと「保険免責制度」の導入に断固反対する。

第2の問題点は、国民の要求と運動を一定反映し、高額療養費制度の拡充や国保料、介護保険料の軽減強化、低所得者の年金加算などの施策が盛り込まれたが、国庫負担を増やさない「財政中立」方針によって、新たに生まれる財源の規模に応じるとしていることである。 
とりわけ、高額療養費制度の拡充策が、「受診時定額負担」導入による財源規模に連動するということは、今後、長期・高額医療の患者の負担軽減に必要な財源が増加すれば、一般の患者にさらに負担増を迫ることになる。「自助を国民相互の共助」で支えることを基本にした社会保障を強要し、国民の中に分断構造を持ち込もうとすることは断じて容認できるものではない。 」


保団連は,4つの理由をあげていますが,上記の2点だけでも反対には十分な理由でしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-06-09 07:14 | 医療