弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連,「司法制度改革審議会意見書10周年に当たっての会長談話」

b0206085_9141112.jpg

日本弁護士連合会(日弁連)は,平成23年6月8日,「司法制度改革審議会意見書10周年に当たっての会長談話」を発表しました.

「司法制度改革審議会意見書」の3つの柱について,ふりかえって,まとめています.

◆ 質量ともに豊かな法曹養成

日弁連会長は,「質量ともに豊かなプロフェッションとしての法曹を確保すること」という第2の柱について,つぎのとおり述べています.

第2の柱については、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度が導入され、この制度により誕生した法律家はすでに約6500人に及んでいる。しかし、司法試験合格率の低迷、経済的負担の増大、急増する法曹人口に見合った職域拡大の遅れ等の要因から、法科大学院の志願者は当初に比べ大幅に減少し、新たな法曹養成制度全体が困難に直面している。この点については、新たに始まった「法曹養成に関するフォーラム」で議論される予定であるが、当連合会としては司法修習生の給費制維持とともに、法科大学院の総定員削減等の具体的改善策が合意されるよう努力したい。

対策として,司法修習生の給費制維持と法科大学院の総定員削減程度しか考えていないようです.
もうすこし,理念と現実をみすえて,根本的な議論をおこなうことが必要ではないか,と思います.

◆ 法曹の養成に関するフォーラム

文部科学省は,内閣官房,総務省,法務省,財務省及び経済産業省と共同で,「法曹の養成に関するフォーラム」を開催しています.
委員はつぎのとおりです.

伊藤鉄男 弁護士(元次長検事)
井上正仁 東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授
岡田ヒロミ 消費生活専門相談員
翁百合 株式会社日本総合研究所理事
鎌田薫 早稲田大学総長・法学学術院教授
久保潔 元読売新聞東京本社論説副委員長
田中康郎 明治大学法科大学院法務研究科教授(元札幌高等裁判所長官)
南雲弘行 日本労働組合総連合会事務局長
丸島俊介 弁護士
宮脇淳 北海道大学公共政策大学院長
山口義行 立教大学経済学部教授

委員は,上記のとおり,法科大学院推進派あるいは法科大学院関係者が多数です.
しかも,会議は非公開です.したがって,報告書の内容はあまり期待できないでしょう.

◆ 法科大学院の崩壊

法科大学院は,経済的負担が大きい.しかも,法科大学院を卒業し新司法試験を受けても合格できる確率は高くない,さらに,弁護士になっても法律事務所に就職できない人もいる,というのが現状です.
そのため,法科大学院受験者が減っています.つまり,高い学費を払って法科大学院に行って,新司法試験を受けて,法律家になろうとする人が減っているのです.
法科大学院は,崩壊しつつあります.

また,法律家の質について言えば,私の感覚ですが,低下傾向にあると思います.若い法律家には,驚かされることが,しばしばありますから.

法科大学院・新司法試験の失策は,明らかでしょう.

法科大学院は,従前の法学部にはなかった専門的な教育ができるところですから.法科大学院を大学のコースに組み込み,法律実務家志望の学生が選択できるコースの1つとすれば,過剰な経済的負担を避け専門的な教育を受けることができるようになります.これは仙台の坂野先生がブログに書いていた方法です.

そもそも米国では大学に法学部は存在しない。新たに法科大学院制度を導入した韓国では、大学が法科大学院を設置する場合は代わりに法学部を廃止しなければならないとしている。大学法学部教育と法科大学院教育の二階建ての制度をとっているのは日本だけである。このような二階建ての制度は、法曹養成の期間の面でも学生の経済的負担の面でも非常に不合理なものである。大学にとっても法科大学院専用の施設や専任教員確保という無用な負担が生じている。現在の法科大学院は社会人入学者でも3年間で終了しうる制度設計になっているが、それなら大学法学部に法曹専門課程を設けて4年間で法科大学院の社会人コースと同様の教育を行えば足りる話である。このような制度設計が可能かどうか一度真剣に検討してみる必要があろう。
(坂野智憲先生「陽の目を見なかった弁護士人口問題の答申」より)

◆ 法律実務家になりたい人へ

法科大学院に行かないでも,予備試験に合格すれば,新司法試験を受験できます.
新司法試験と予備試験の択一問題は,8割ちかく一致しています.
法科大学院に行けない人でも,あきらめることはありません.

谷直樹
下記バナーのクリックを御願いいたします.弁護士ブログ169サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-06-10 09:14 | 司法