弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

名古屋地方裁判所平成23年6月15日判決(抜歯感染,骨髄炎で約4000万円)

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◆ 事案


名港鈴木歯科医院で,平成16年8月,右下の親知らずを抜いた後,下あごに骨髄炎を発症し,平成17年4月以降,名大病院で骨髄炎の部分を取り除く15回の手術を受けました.患者は,痛みや発熱,不眠に苦しみ,仕事も失い,流動食しか食べられない状態が続いています.

◆ 判決

名港鈴木歯科医院は,「発熱など抜歯後感染を疑わせる症状はなく過失はなかった」などと反論し,平成16年10月に名大病院が実施した,残った親知らずの抜歯が骨髄炎を発症させた可能性が高いと主張しました.

名古屋地裁は「名大病院の治療は適切。感染可能性が最も高いのは適切な措置をしなかった被告の手術直後と考えるのが合理的」とし,「感染治療や防止のため抗菌薬投与などの適切な措置をしなかった」と注意義務違反を認め,「注意義務違反と抜歯後感染や骨髄炎は因果関係が認められる」とし,労働能力喪失率を30%と認定し,被告に約4000万円の支払いを命じました.

中日新聞「抜歯で骨髄炎、賠償命令 名古屋地裁判決、歯科医院に4千万円

◆ 感想

結果責任ではありませんので,賠償責任を認めるためには,注意義務違反の立証が必要です.
ただ,注意義務違反の特定を厳密に求めると,立証困難となり,非常識な結果になります.
本件は,名港鈴木歯科医院が感染治療や防止のため抗菌薬投与などの適切な措置をしなかったことで,注意義務違反を認めたとのことです.感染についてのこのような注意義務違反の認定は,一般人の常識と合致すると思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-06-16 09:14 | 医療事故・医療裁判