弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

産科補償制度再発防止委員会(第8回),報告書案

産科補償制度再発防止委員会(第8回),報告書案_b0206085_1025967.jpg産科補償制度では,原因分析委員会が医学的な視点で原因分析を行い,再発防止委員会が分析し,同種事例の再発防止に役立つ提言を行う仕組みになっています.

キャリアブレイン「産科補償制度再発防止委、報告書を大筋了承」 は,次のとおり報じています.

「日本医療機能評価機構の「産科医療補償制度再発防止委員会」(委員長=池ノ上克・宮崎大医学部附属病院院長)は6月24日、初の報告書案を大筋で了承した。同制度が始まった2009年以降に補償対象になった重度脳性まひ児のうち、昨年末までに公表した15例について分析し、再発防止策を提言する内容。文言の修正などを行い、8月に公表する見通しだ。」

日本医療機能評価機構の「産科補償制度」のサイトには,この15症例の報告書の要約が公表されています.また,「産科医療補償制度再発防止委員会」の議事録も公表されています.

報告書案の「テーマに沿った分析」では,次の4点をとりあげています.
分娩中の胎児心拍数聴取
新生児蘇生
子宮収縮薬
臍帯脱出

診療ガイドラインが徹底されていない例があったため,ガイドラインの順守,周知徹底を提言とのことです.

「数量的・疫学的分析」では,正常分娩のデータとの比較は行ってなく,「疫学的な分析としては必ずしも十分ではない」とのことです.

なお,再発防止委員会のメンバーは次のとおりです.

委員長
池ノ上克 宮崎大学医学部附属病院院長

委員長代理
石渡勇 石渡産婦人科病院院長

委員
鮎澤純子 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座准教授
板橋家頭夫 昭和大学医学部小児科学教授
岩下光利 杏林大学医学部産科婦人科学教授
勝村久司 連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員
川端正清 同愛記念病院産婦人科部長
隅本邦彦 江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授
小林廉毅 東京大学大学院医学系研究科教授
田村正徳 埼玉医科大学総合医療センター小児科学教授
福井トシ子 日本看護協会常任理事
藤森敬也 福島県立医科大学医学部産科婦人科学教授
箕浦茂樹 国立国際医療研究センター病院産婦人科科長
村上明美 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科教授
(五十音順,敬称略)

メンバーに法律家は1人もはいっていません.
再発防止委員会の役割は,単に報告書を作成することではなく,実効的な再発防止を提言し検証することにあると思います.ガイドラインを守りましょう,周知徹底しましょう,と言うだけで事故の再発を防止できると,本気で考えているのでしょうか?
きわめて低レベルの医療が行われている実態がうかがえますので,具体的に対策を立てないといけないと思います。

谷直樹
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by medical-law | 2011-06-26 00:29 | 医療