弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

平成23年6月水戸地裁判決,パーキンソン病患者誤嚥で医療法人恒貴会の介護老人保健施設に賠償命じる

b0206085_21265973.jpg◆ 事案

パーキンソン症候群の男性(当時86歳)は,食事をうまく飲み込めず,家族は食事をペースト状にして食べさせるよう,医療法人「恒貴会」の介護老人保健施設「協和ヘルシーセンター」施設に伝えていました.

ところが,施設はすしや刺し身などをそのまま提供していました.
平成16年11月,この男性は,昼食の刺し身を誤って丸ごと飲み込み,その後死亡しました.

◆ 判決

水戸地裁判決は,平成23年6月,誤嚥の危険性が高いことを十分予想できたとして,施設の過失を認定し,医療法人恒貴会に支払いを命じました.

◆ 会見

原告代理人の佐藤大志弁護士は,平成23年7月25日,「パーキンソン病などの患者が十分な介護体制のないなか,食事をうまく飲み込めず死亡する事案は多い。同種施設の管理体制に警笛を鳴らした」と意義を強調しました。なお,慰謝料の金額認定を不服として控訴している,とのことです.

msn産経「刺し身飲めず死亡 施設側に賠償命令 茨城」ご参照

◆ 感想

介護老人保健施設は,施設サービス計画に基づいて,看護,医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことにより,入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることとともに,その者の居宅における生活への復帰を目指すものでなければなりません(介護老人保健施設の人員,施設及び設備並びに運営に関する基準).
看護,医学的に適切な管理が求められています.
そこで,刺し身をそのまま提供すれば誤嚥することが予見できたのに,刺し身をそのまま提供したことは,注意義務違反にあたります.

なお,余命が,逸失利益のみならず,慰謝料にまで影響するかは,議論があるところですが,人の命の価値,精神的苦痛に差はない筈ですから,慰謝料は減額されるべきではない,と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-26 21:28 | 医療事故・医療裁判