弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

「あったらいいなをカタチにする」小林メディカル,医療器具強度試験のデータ改ざんで業務停止

b0206085_542444.jpg◆ 強度試験がうまくいかず、やってしまった

厚生労働省は,7月27日,小林製薬の子会社「小林メディカル株式会社」に,薬事法に基づく10日間の業務停止命令を出しました.

主に高齢者が脚の付け根を骨折した際に埋め込む医療器具「コバメッド ネイルシステム」(体内固定用大腿骨髄内釘)と「コバメッド グラスピングピンシステム」(体内固定用ネジ)の承認申請資料を改ざんしたことによるものです.
小林メディカルの担当者は,「強度試験がうまくいかず、やってしまった」とのことです.

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◆ 毎日新聞

毎日「小林製薬子会社:医療器具で改ざんデータ提出 業務停止に」は,以下のとおり報じています.

「社内調査で改ざんが分かり、昨年10月に厚労省に届け出た。担当者は厚労省の聞き取りに「強度試験がうまくいかず、やってしまった」と話したという。」

◆ 朝日新聞

朝日「小林製薬子会社、承認申請データ改ざん 業務停止処分」は,以下のとおり報じています.

「厚労省によると、小林メディカルは、大腿(だいたい)骨の付け根部分の骨折治療で、骨の中に埋め込んで固定するネジの承認申請をした際、ネジの強度をみる試験データを改ざん。他社製品と比較して強度が低かったにもかかわらず、高かったように偽った資料を昨年5月に提出した。
承認審査をする医薬品医療機器総合機構が、詳細なデータの提出を求めたことで発覚した。ネジと一緒に使用し、骨の中に打ち込むチタン合金製の釘でも、データの改ざんが見つかった。釘は承認直後だった。」

◆ 再発防止策

小林メディカル株式会社のサイト(現在閉鎖中)には,次のとおり掲載されています.

「弊社は、事実の調査と原因究明を徹底的に行なうとともに、再発防止に向けた検討を行ない、再発防止策として、以下の項目を実施いたしました。

(1) 製品開発・品質保証・薬事申請に係る既存業務フローの見直しによる役割と責任の所在の明確化
(2) 薬事申請前審査委員会等の新たな手順の追加
(3) 開発に係る会議を社長直轄運営に変更
(4) 組織改革(薬事部門と品質保証部門の分割、内部監査室の新設)
(5) コンプライアンス委員会の新設
(6) コンプライアンス教育の実施及び法令遵守を盛り込んだ経営方針の啓発による意識・風土改革」


つまり,今までほとんど何の体制もなかったと言っているようなものです.

小林製薬のサイトには,「昨今の医療費抑制や公定価格下落など医療機器業界を取り巻く市場環境が激変する中、環境変化に柔軟に対応し、高度な専門性や一層の生産性効率を図りながら競争力を高めることが必須であると判断し、平成21年11月に小林メディカルカンパニーを分社することを決議しました。そして、本日、平成22年4月1日に小林メディカル株式会社として新しいスタートを切ることになりました。小林メディカル株式会社は、外科領域、呼吸・麻酔領域、整形外科領域など製品群別の事業部制を導入し、それぞれの製品市場に特化した事業展開を進めてまいります。」と分社時の挨拶が掲載されています.

田辺三菱の場合は,度重なる吸収合併による社内問題が背景にありましたが,小林メディカルの場合は,分社後の体制,意識が背景となっているように思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-29 05:23 | コンプライアンス