弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日本は2型糖尿病薬アクトスに大甘の対応(添付文書再改訂すら行わず)

b0206085_94455100.jpg2型糖尿病薬アクトス使用により,膀胱がんのリスクが約1.2倍となることが,2つの大規模試験で判明しました.
これについて,異を唱える国はありません.

ただ,この2割増しの膀胱がんリスクに対し,どのような措置をとるかが,各国で分かれます.

仏独は,患者の安全を重視し,アクトスの使用自体を認めません.

欧州医薬品庁(EMA)は,膀胱がん病歴のある患者,膀胱がんの患者,および未検査の肉眼的血尿のある者に対しては禁忌とし,同剤投与開始時点で膀胱がんのリスクファクターを評価することを求めています.医師は,3か月,6か月およびその後定期的に評価しなければなりません.高齢者には最低用量から投与することも求めています.

キャリアブレイン「アクトス、添付文書追加改訂必要ないと判断- PMDA」は,次のとおり報じています.

「医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、糖尿病治療薬ピオグリタゾン製剤(武田薬品工業のアクトスなど)の膀胱がんリスクへの対応について「調査結果報告書」をまとめた。報告書には、7月21日付の欧州での措置を踏まえた国内添付文書の追加改訂の必要性はないとの判断を明記。その上で関係企業に対して、引き続き国内外のリスク情報を迅速に収集して情報提供することや、新たな安全対策や調査などの必要性について継続して検討することを求めた。厚生労働省が29日の薬事・食品衛生審議会(薬食審)医薬品等安全対策部会に報告、了承された。」
「PMDAでは、現時点でのエビデンスから「膀胱がんの患者」および「膀胱がんの既往のある患者」のいずれについても、添付文書の禁忌の項に設定し、使用厳禁とまでする必要はないとした。また、国内の医療現場では通常の医療行為として肉眼的血尿の精査がなされるため、添付文書上で特に注意喚起すべき事項ではないとの判断を示した。」


これは,仏独どころか,欧州医薬品庁より甘い対応です.
2割増しの膀胱がんリスクはわかっています.さらに情報を収集する必要はありません.

使用禁止にもせず,禁忌ともしない,という日本の対応は,患者の安全を軽視するものではないでしょうか.きわめて疑問です.

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-30 01:38 | 医療