弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

毛利病院,看護助手が傷害で逮捕される(患者虐待?)

b0206085_10382350.jpg◆ 報道

京都新聞「患者爪剝がし 容疑の看護助手「職場関係ストレス」」(平成23年8月23日)は,以下のとおり報じています.

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京都市中京区の「毛利病院」に入院している認知症の女性患者(80)の左足親指の爪が剝がされたとされる事件で、傷害容疑で逮捕された看護助手×××××容疑者(37)=西京区川島六ノ坪町=は「上司との人間関係にストレスを感じていた。ほかに看護師らがいないおむつ交換の時に爪を剝がした」と供述していることが25日、五条署への取材で分かった。また、ほかに剝がされた可能性のある入院患者3人の爪も、すべて親指だったことも同病院への取材で分かった。

 捜査関係者によると、病院側は「7月まではなかったが、8月に入ってから同じフロアの患者の爪が剝がれる出来事が数件発生している」と五条署に説明している。××容疑者は8月6日に採用されており、同署が関連を調べている。

 病院によると、被害者以外に爪が剝がされた可能性があるのはいずれも80歳前後の男性1人、女性2人。うち1人は両足の親指の爪を、ほかの2人はそれぞれ片足の親指の爪が剝がされていた。

 病院の説明では、爪が相次いで剝がされる事案を把握したのは今月18日以降といい、「水虫などで爪が剝がされやすくなり、シーツなどにひっかかったアクシデントと認識していた」としている。

 捜査関係者によると、佐藤容疑者は2004年に南区の病院で患者6人の爪を剥がした傷害罪で実刑判決を受けて服役し08年4月10日に仮出所した。その後の職歴などは不明、という。」


◆ 感想

「看護助手」は,国家資格である「看護師」とは全く違います.
看護助手は,シーツやオムツの交換その他を行います.

前の十条病院の事件のときは,心神耗弱が主張されましたが,精神鑑定請求は認められていません.
院内調査で自分がやったと認めているとのことですが,自白偏重に陥ることなく十分慎重に捜査していただきたいと思います.また,被疑事実がそのとおりだと認定できるのであれば,精神鑑定が必要ではないでしょうか.

【追記】

読売新聞「また爪剥がし 病院、チェック不十分と陳謝」(平成23年8月26日)は,次のとおり報じています.
看護助手の心のケアしていなかったと,この病院を責めるのは酷と思いますが,患者虐待を行うのは虐待されていた人が多いとすれば,刑罰よりもむしろ加害者の心の闇を照らし,治療することが必要でしょう.

「事件は防げなかったのか――。毛利病院(京都府中京区)に入院している女性患者(80)の足の爪を剥がしたとして25日、五条署に傷害容疑で逮捕された看護助手・×××××容疑者(37)は、7年前にも別の病院で患者の爪を剥がして逮捕されていた。

 毛利病院は同日午後、緊急の記者会見を開き、前の事件が未把握だったとしたうえで、「チェックが不十分と言われても仕方がない」と陳謝。医療関係者が入院患者にけがを負わせる事件は近年、相次いでおり、識者らは対策の必要性を訴えている。

 ■記者会見

 「当院で重大な不祥事を起こし、誠に申し訳ない」

 午後2時から顧問弁護士らと会見した毛利病院の下野広俊院長(56)は頭を下げ、終始厳しい表情を見せた。

 ××容疑者が今月6日に勤務を始めるに際して行われた採用面接でのやり取りや履歴書の内容については「コメントを差し控える」としたうえで、過去の事件に報道陣から質問が及ぶと、顧問弁護士は「全く知らなかった。病院としては非常に驚いた。ただ、チェックが不十分という指摘はあると考えているし、その点は病院として重く受け止めないといけない」と話した。

 同署によると、××容疑者は「仕事のストレスがたまっていた」などと供述。この点に関し、病院側は「ストレスを抱えている職員はいるかもしれないが、ケアはしていなかった。今後の課題にしたい」とした。

 ■同種事件

 事件が明らかになったこの日午前、診察で毛利病院を訪れた中京区の無職女性(78)は「体の弱いお年寄りに、そんな痛々しいことをするなんてひどい」と驚きを隠せない様子だった。

 だが、医療や介護の現場では、患者や高齢者ら社会的弱者が医療従事者に虐げられる事件が続いている。

 京都では、京大病院(左京区)で2009年11月、看護師の女が入院中の女性に治療上必要のないインスリンを投与する事件があり、懲役1年6月の実刑判決が今年4月に確定。女は、仕事のストレスを募らせ、患者の容体を悪化させて発散しようと考えたという。

 また、兵庫県佐用町の病院でも08~09年、看護師の女が寝たきりの患者6人の胸を圧迫し、肋骨(ろっこつ)を折ったり、別の患者の目をペン先で突いたりする事件が発生。動機は、上司らに仕事ぶりを評価されず、いらだちを募らせたことだったとされる。

 東海学院大の長谷川博一教授(犯罪心理学)は「職場のストレスは犯行のきっかけに過ぎない。弱者ばかりを狙うのは、過去の虐待などで心理的、肉体的に苦しみを背負っているケースが多い。成育歴を調べて動機を徹底解明し、刑務所内では、精神的に問題がある人の更生プログラムを取り入れるなどの対策が急務」と話している。(横田加奈、上田真央)」


谷直樹
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by medical-law | 2011-08-26 10:10 | 医療