弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ファクターXa阻害剤アピキサバンがワーファリンに優るという報告

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◆ アピキサバンとワーファリンの比較臨床試験

AFP「心房細動による脳卒中の予防,新薬アピキサバンが効果的 米研究」(2011年8月30日)が,新薬候補のアピキサバン(Apixaban)の第3相の臨床試験について報じています.

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米デューク大(Duke University)のクリストファー・グランガー(Christopher Granger)教授のチームは,8月29日,欧州心臓病学会で次の発表を行いました.

39か国1万8000人以上の患者を2つのグループに分け,一方にはアピキサバン5ミリグラムを1日2回,他方には血液検査の結果に応じて量を調節したワーファリンをそれぞれ服用してもらい,平均で1.8年間追跡した結果,アピキサバンはワーファリンに比べ脳卒中と全身性塞栓症リスクが21%,大出血リスクが31%,総死亡リスクが11%,それぞれ有意に減少したというものです.
つまり,心房細動が引き起こす脳卒中に対する予防効果は,標準的な薬であるワーファリンよりも新薬候補のアピキサバンの方が高かった,という結果がでました.

◆ 感想

以前アピキサバンとアスピリンとの比較試験の報告がありましたが,アスピリンには勝って当然なので,今回ワーファリンに優るという結果がでたことで.新薬承認へ一歩近づいたと思います.

血液凝固の仕組みは,何段にも分かれた滝(カスケード)のように,順々に凝固因子が生成されていきます.
プラザキサはフィブリン生成に必要なトロンビンを阻害する薬ですが,アピキサバンは,そのトロンビンの生成に必要なファクターXaを阻害する薬です.つまり,一つ手前の滝に作用すると言ってよいでしょう.

日本では,「プラザキサカプセル」(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩製剤)と関連性を否定できない出血性副作用による死亡例5例が,今月報告され,添付文書が改訂されました.
「本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず,本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はない」ので,観察を十分に行い,危険な徴候を認めた段階で直ちに適切な処置を行うこととされています.
こうなると,プラザキサは実際上使いにくいことになります.

プラザキサが実際上使いにくいとなると,今度はアピキサバンに期待が集まるでしょう.

ただ,私のような素人が考えても,血液凝固を阻害しながら,出血の危険を最小にするのは相反する要請です.
血液凝固にかかわる薬は,新薬が次々と開発されていますが,安全性に問題があることも多いので,期待と警戒をもって注目したいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-31 02:02 | 医療