弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

禁煙補助剤チャンピックスで意識障害6人,交通事故も

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◆ 報道

朝日新聞「禁煙補助剤「チャンピックス」で意識障害6人」(平成23年8月30日)は次のとおり報じています.

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「厚生労働省は30日、禁煙治療に使われる飲み薬「チャンピックス」(成分名・バレニクリン)を服用した患者のうち6人で、気を失うなど副作用が疑われる意識障害が起こっていたと発表した。

 厚労省によると、チャンピックスは国内で販売されている禁煙補助剤の中で唯一、脳に直接作用する。6人は40~70歳代の男女。うち3人は自動車の運転中に起き、2人が意識を失い、1人が眠くなった。3人ともけがはなかった。残り3人は、ぼーっとするなど意識のレベルが低下した。

 60代の男性は、飲み始めて8日目に起きた。服用してから約20分後、車の運転中に意識を失い、気づいた時には、側溝に車が突っ込んだ状態だったという。

 チャンピックスは2008年5月から販売され、年間使用者数は推計41万4千人。販売元のファイザーは医師向けの説明文書を改訂し、自動車の運転や危険を伴う機械の操作をさせないよう注意を促している。」

◆ 7月5日の添付文書改訂の内容

7月5日の添付文書改訂は,以下のとおりです.

「[重要な基本的注意]の項のめまい、傾眠に関する記載を
「めまい、傾眠、意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」
と改め、[副作用]の「重大な副作用」の項に
「意識障害:
意識レベルの低下、意識消失等の意識障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」
を追記する。」


◆ 感想

禁煙補助剤チャンピックスによる精神神経障害は,かなり前から指摘されています.
アメリカでは,自殺行動や攻撃性の出現などの事例報告が多数あり,日本でも異常行動・自殺行動などの精神障害,意識消失などの神経系障害が報告されていました.
薬害オンブズパースン会議の2009年7月6日及び同年12月28日の要望書をご参照ください.

ニコチンは,脳に働きかけ,認知の歪みを生じさせます.そのニコチン依存から脱するために,ニコチンが働きかけるところに働きかける,という発想でつくられたのが,このチャンピックスです.
チャンピックスは,ニコチン置換薬ではなく(非ニコチン製剤),ニコチン受容体に選択的に働きかけ,少量のドパミンを放出させ,離脱症状やタバコに対する切望感を軽減するとともに, 喫煙による満足感を抑制するという画期的な作用機序で禁煙効果を発揮します.
ニコチンではないのに,ニコチンと同様の作用があるのです.
それだけに,精神神経障害も警戒しなければなりません.

同じ薬について,アメリカと日本では,同じように危険性が表示されていないのは,問題です.
本薬についても,日本の添付文書は,改訂後でもまだ危険性の指摘が弱いと思います.

副作用発現により禁煙が頓挫することのないよう,患者は注意事項を遵守し,医師には患者の観察を丁寧に注意深く行ってほしいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-31 02:46 | 医療