弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

箕面市立病院,医療用スポンジ残置約22年,100万円で示談

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◆ 報道

msn産経「手術後スポンジ置き忘れ約22年 箕面市立病院」(平成23年9月1日)は,次のとおり報じました.

「箕面市立病院(大阪府箕面市)は1日、同府吹田市内に住む女性患者(61)に対し約22年前に行った手術で、体内にこぶし大のサイズのスポンジを置き忘れる医療事故があったと発表した。病院側は女性に謝罪を済ませ、同日までに慰謝料約100万円を支払い和解している。

 病院側の説明によると、当時39歳だった女性が平成元年2月、箕面市立病院で総胆管結石の手術を受けた際、主治医が臓器を固定するための円形の医療用スポンジ(直径約8センチ)を置き忘れたまま縫合した。

 女性は21年6月に肝機能障害のため吹田市民病院に入院。肝機能は改善したものの、内臓脂肪測定検査で腫瘤(しゅりゅう)を指摘され、肝腫瘍と診断された。22年11月に手術を行ったところ、肝腫瘍に見えた部位が医療用スポンジと判明し、摘出した。健康被害はないという。

 示談金は、顧問弁護士と相談したうえで、過去の医療事故の判例などを元に算出した。病院側は「再発防止に努めたい」としている。」


◆ 感想

ガーゼなどの異物を残置する事故は,今でもあとをたちません.
単純な「確認のミス」であり,手順を遵守することで防止可能な事故です.

具体的な健康被害がない場合でも,患者は異物を体内に残されたことで精神的損害を受けていますから,賠償(慰謝料)が必要です.
本件の100万円は,医療事故の判例などを元に算出したとのことですが,より高額な示談事例もあります.

今年5月にも,鳥取県立中央病院で,平成6年に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた患者が、腰に痛みを感じ,平成22年7月に鳥取大病院で腰の手術を受けたところ,親指大に丸まった,直径数センチの大きさの手術用のガーゼ1枚が体内から見つかった事案で,350万円の賠償金が支払われる,と報道されていました.

msn産経「ガーゼ取り忘れで和解へ 鳥取中央病院」(平成23年.5月17日)は次のとおり報じました.

「鳥取県立中央病院は17日、兵庫県香美町の60代の女性に腰椎椎間板ヘルニアの手術をした際、体内のガーゼを取り忘れるミスがあったと発表した。女性とは和解することで合意しており、慰謝料など350万円を支払う。

 武田倬院長によると、女性は平成6年に手術を受けた。約6年前から再び腰が痛くなり、22年7月に鳥取大病院で手術を受けた際、親指大に丸まったガーゼ1枚が出てきた。

 中央病院で同様のガーゼ取り残しが判明したのは3件目。武田院長は「こういうことがないように万全の体制で臨むようにしたい」と話した」。


異物を体内に残した場合の賠償金は, 1)残留物の材質,大きさ,2)体内から取り出すことが出来るか否か,3)取り出すまでの期間,4)痛みなど不具合発生の有無,程度により異なります.

鳥取県立中央病院の上記の事案は,ガーゼの取り忘れと痛みとの間に関連性があるとはいえないことを前提に350万円の賠償金を支払っています.
また,「慰謝料など」と書いていますが,残留ガーゼと無関係な腰痛の治療のため鳥取大病院で手術を行ったとすれば,その手術費用はガーゼの取り出しのためとは言えませんので,損害にはなりません.

ガーゼを6年残置した鳥取県立中央病院の事案で350万円ですから,スポンジでを約22年残置した本件の示談金額については疑問がないではありません。
本件は,スポンジが肝腫瘍に見えたために,本来必要のない手術を行ったわけで,手術費用も損害になるのではないか,と思います.

もちろん,示談ですから,当事者が真に合意してしていれば,100万円でもよいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-02 08:40 | 医療事故・医療裁判