弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

介護福祉士が通所者に向精神薬ベゲタミンを投与,逮捕される,施設は報告義務怠る

b0206085_8592052.jpg広島県海田町の介護施設で,介護福祉士が通所者に向精神薬ベゲタミンを投与し,傷害を負わせたとして,平成23年9月1日,逮捕されました.

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◆ 読売新聞9月1日

読売新聞「女性介護福祉士が通所者に劇薬「イライラして」」(平成23年9月1日)は,次のとおり,報じました.

「広島県海田町の介護施設で通所者の男性に薬物を投与し、意識障害にさせたとして、広島県警は1日、広島市安芸区阿戸町、介護福祉士×××××容疑者(47)を傷害容疑で逮捕した。

「イライラしてやった」と認めているという。同施設ではほかに2人が救急搬送されて薬物反応が出ており、県警が関連を調べている。

発表によると、×××容疑者は7月22日、勤務していた通所介護施設で、同町の無職男性(67)に劇薬指定の向精神薬「ベゲタミン」を投与し、2日間の意識障害にさせた疑い。男性は後に回復した。ベゲタミンは医師の処方が必要で、同施設では使っていなかった。

×××容疑者は2009年4月から同施設で勤務し、今年7月末、母親の介護を理由に退職。担当者は「真面目で信用していたので驚いている。通所者に不安を与える行為で許されない」と話している。」


◆ 読売新聞9月2日

読売新聞「通所者に薬物、介護福祉士逮捕…施設関係者ショック」(平成23年9月2日)は,次のとおり報じました.

「広島県海田町の介護施設で、通所者に薬物を投与し意識障害にさせたとして介護福祉士の×××××容疑者(47)(広島市安芸区)が1日に傷害容疑で逮捕された事件は、福祉施設の関係者に大きな衝撃として広がった。

 「朝一番に出勤し、真面目」「確実に仕事をこなしていた」などの声が多かった一方、「あまり人と話すのは苦手だったみたい」という声もあり、県警が詳しい事件の経緯を調べている。

 通所介護事業所の担当者によると、職業安定所の紹介で、×××容疑者は2009年4月から働き始めた。勤務態度は真面目で、以前に特別養護老人ホームで働いていた経験もあって、「トイレや入浴の介助技術は高い」と評価されていた。しかし、通所者に積極的に話しかけるタイプではなく、「コミュニケーションはちょっと苦手な様子だった」と担当者は振り返っていた。

 この日朝から、事件を知った通所者や事業所職員らは一様に険しい表情を見せていた。また、×××容疑者が以前務めていた特別養護老人ホームの担当者は「勤務態度に問題はなく、トラブルもなかった」と話した。

 一方、この介護事業所では昨年11月から7月までの間、通所者が急にふらついたり、眠ったまま反応が鈍くなったりする症状で、救急搬送されるケースが約10件発生。うち2件で睡眠導入剤の成分が検出された。」


◆ 読売新聞9月3日

読売新聞「介護福祉士逮捕 通所者救急搬送13件,薬物検出3件報告せず」(平成23年9月3日)は,次のとおり報じました.

「海田町の介護施設で通所者に薬物を投与し意識障害にさせたとして、介護福祉士の×××××容疑者(47)(広島市安芸区)が傷害容疑で逮捕された事件で、昨年11月~7月に通所者が救急搬送されたケースは13件あり、通所者の多くが意識障害を起こしていたことが県の立ち入り調査でわかった。また、事件を含め、薬物が検出された3件について、施設側が町への報告義務を怠っていたことも判明した。

 この日午前11時から、県西部厚生環境事務所や同町の担当者計7人が、介護保険法違反の疑いで立ち入り調査した。約3時間にわたり、施設の担当者から利用者の介護状況や薬品管理などについて聞き取った。

 県によると、救急搬送された13件のうち、12件は5~7月に集中していたという。

 一方、施設内で虐待行為などが疑われる場合、町への報告義務が生じる。しかし、通所者が救急搬送後に薬物が検出された3件について、同施設が町へ報告したのは太尾田容疑者の逮捕後だった。」


◆ 感想

この介護福祉士は,傷害行為を何件行っていたのか,未だ明らかにされていません.
当初から,疑問が提出されていたことですが,この介護福祉士は,ベゲタミンをどのようにしてどこから入手したのでしょうか,これも明らかになっていません.

「イライラしてやった」というだけで,真の動機は解明されていません.虐待が事実であれば,虐待者の精神の闇を治療する必要があるでしょう.

報告義務のある施設が,報告を行っていなかったのが問題になっています.まさか,このような虐待が本当に行われるとは疑わなかったのでしょうが,「虐待行為が疑われる場合」に該当するときにはすみやかに届け出,調査を行うことで事件の再発を防止できます.施設の責任ある立場にある人は,少しでも疑いをもったならすみやかに届けてほしい,と思います.
今後の捜査を注視したいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-05 09:12 | 医療事故・医療裁判