弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医師が胃チューブ交換ミスの疑い(業務上過失致死容疑)で書類送検される(胃瘻チューブ交換ミス)

医師が胃チューブ交換ミスの疑い(業務上過失致死容疑)で書類送検される(胃瘻チューブ交換ミス)_b0206085_22221236.jpg◆ 報道

msn産経「男性死亡で医師を書類送検 チューブ交換ミスの疑い 福岡」(平成23年9月6日)は,次のとおり報じました.

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○○県警○○署は6日、○○市○○区の○○病院で平成21年3月、腹部に開けた穴から胃に流動食を送る「胃ろう」チューブの交換ミスで、入院中の同市○舞うR区の無職男性=当時(70)=を腹膜炎による多臓器不全で死亡させたとして、チューブを交換した男性医師(53)を業務上過失致死容疑で書類送検した。

 送検容疑は、糖尿病などで入院していた男性の胃ろうチューブを交換する際、チューブが胃の内部にまで届いていないことに気付かず、看護師に栄養剤の注入を指示。栄養剤を男性の腹腔内に漏れ出させて腹膜炎を発症させ、21年3月16日に多臓器不全で死亡させたとしている。

 ○○署によると、チューブは長さ20センチ、直径約1センチのシリコン製。男性は17年9月に入院し、4カ月に1回チューブを交換していた。男性医師は容疑を認めているという。」


◆ コメント

上記報道の件は私が担当したものではありません.
胃瘻チューブの交換の際には,十分注意をはらってほしいと思います.
注意義務違反の疑いがありますので,警察が,業務上過失致死容疑で書類送検するのは当然です.
検察が略式起訴すれば,医師は罰金に処せられるでしょう.

医師の業務上過失致死容疑については,警察が事件を抱えている期間が長くなる傾向があります.
慎重になるのはわかりますが,被疑者,被害者双方のために,できるだけすみやかに対処してほしいと思います.

【追記】

毎日新聞「医療事故:患者死亡で書類送検の医師不起訴 過失程度小さく /福岡」(2012年3月31日)は,次のとおり報じています.

「○○地検は30日、業務上過失致死容疑で書類送検された○○区の「○○病院」の男性医師(53)を不起訴処分(起訴猶予)にしたと発表した。処分は29日付。地検は「過失の程度が比較的小さく、遺族の処罰感情などを考慮した」としている。

 医師は09年3月、栄養剤を注入するチューブが胃に入っていないのに看護師に栄養剤投与を指示して男性患者(当時70歳)を死亡させたとして昨年9月、書類送検されていた。」


谷直樹
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by medical-law | 2011-09-06 22:07 | 医療事故・医療裁判