弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

産婦人科医院での子宮摘出手術による死亡事件,東京高裁で医師と和解

産婦人科医院での子宮摘出手術による死亡事件,東京高裁で医師と和解_b0206085_21274419.jpg平成23年3月1日~3日の医療事件の判決」でご紹介した,静岡地裁平成23年3月3日判決(子宮摘出手術で出血死)の控訴審における医師との和解が報道されました.なお,私が担当した事件ではありません.

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1審判決の1億1000万円が,控訴審の和解では1億2000万円になっています.遅延利息を考慮したためと思います.ただ,50年の分割払いなので,本当に全額支払われるかは不確実です.

日本医師会は,母体保護法が定める指定医ではない医師が執刀しているから医療行為ではない,とし,医事保険の適用外,と主張しています.
医師側は,指定医も手術に立ち会っていた,として,医事保険の適用を求め,静岡地裁で医師会との裁判を行っています.

静岡新聞社「1億2千万円支払いで和解 静岡の子宮摘出死亡訴訟」(平成23年9月13日)は,以下のとおり報じています.

「静岡市清水区の産婦人科医院(閉院)で2005年、子宮摘出手術を受けた同市の女性=当時(45)=が死亡したのは医療ミスが原因として、遺族3人が医師2人に損害賠償を求めた訴訟は12日、2人が1億2千万円を支払う内容で東京高裁(青柳馨裁判長)で和解した。
 遺族側によると、医師側は日本医師会などを相手に、この医療事故が医師賠償責任保険の適用対象となることの確認を求め、静岡地裁に提訴している。勝訴して保険金が支払われれば和解金に充てられるが、敗訴の場合和解金は医師2人が50年間かけて分割で支払うことになるため、全額の支払いは不透明という。
 3月の一審静岡地裁判決によると、女性は05年9月、子宮摘出の手術中に大量出血し死亡。判決は、医師2人が輸血の準備をせず手術を行い、容体急変後も転院させるなどの措置を取らなかった過失を認め、約1億1千万円の支払いを命じた。
 遺族は「相手方の意向もあり、やむを得ず和解に応じた。日本医師会との裁判に決着を付ける第一歩になれば」と代理人の弁護士を通じてコメントした。」


谷直樹
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by medical-law | 2011-09-13 17:47 | 医療事故・医療裁判