弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

岐阜県立多治見病院,気道熱傷の診断の遅れで窒息し死亡した事案で管理責任を認め示談成立

b0206085_17205954.jpg◆ 読売新聞の報道

読売新聞「ガス爆発で入院の女性、のどの熱傷見落とし死亡」(2011年9月30日)は,次のとおり報じました.

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「岐阜県立多治見病院(多治見市)は30日、県内の40歳代の女性患者に気道熱傷があるのを見落とし、死亡させる医療事故があったと発表した。

 遺族との間では、和解金4500万円を支払うことで合意したという。

 発表によると、死亡したのは、2009年10月11日に自宅で起きたガス爆発で顔や頭にやけどを負った女性。救急搬送された際、喉頭にカメラを入れるなどして医師4人が診察し、気道熱傷はないと判断、入院させた。しかし女性は翌12日、呼吸が苦しいとナースコールで訴え、緊急の気管切開が行われたが、気道閉塞による低酸素性虚血性脳症で障害が残って寝たきりとなり、10年8月、肺水腫で死亡した。

 原田明生病院長は「搬送された際、気道熱傷と診断していれば、女性は集中治療室で適切な治療と管理を行い、気道閉塞などは避けられた」と診断ミスを認め、謝罪した。」


◆ 中日新聞の報道

中日新聞 「医療ミスで脳障害 県立多治見病院、死亡女性遺族に賠償へ」(2011年10月1日)は,次のとおり報じました.

「県立多治見病院(多治見市前畑町)は30日、入院患者の管理にミスがあり、女性患者を窒息状態に陥らせ、脳障害による寝たきり状態にしたと発表した。女性は2010年8月に肺水腫で死亡。原田明生院長は「窒息状態にしたことが死期を早めたと認識している」と病院側の責任を認め、9月1日に損害賠償金4500万円を支払うことで遺族と示談したと明らかにした。

 発表によると、患者は09年10月、自宅こんろのガス爆発による顔面と頭部の熱傷で救急搬送され、入院した東濃地域の40代女性。入院翌日朝に気道が腫れ、食事や水がのどを通らなくなったが、医師間の連絡が不十分だったため容体の緊急性が伝わらず、再診断されなかった。女性は同日午後に気道の腫れがひどくなり窒息状態に陥った。

 原田院長は病院側の落ち度を認め、「今後は入院患者の休日診療について、確実な診療と引き継ぎを行い、再発防止に努める」と話した。 (植木創太)」


◆ 感想

読売新聞と中日新聞で,若干ミスの力点が異なるように思います.

たしかに結果的に気道熱傷だったわけですから,搬送されたときに気道熱傷を診断し集中治療室で適切な治療と管理を行っていれば気道閉塞は避けられたはずです.その意味で搬送時点が重要ですが,本件で診断ができなかったのには何か理由があるのでしょう.

翌朝気道が腫れ具体的な症状が認められた時点で,医師間の連絡が十分で診察が行われていれば気道熱傷の診断は可能だったでしょうし,同日午後の窒息は回避されたでしょう.
したがって,結果発生との関係での直接の注意義務違反は翌日の医師間の連絡不十分にあると言えるでしょう.

岐阜県立多治見病院が,医師個人の問題に解消することなく,病院の体制の問題と受け止め,再発防止に努める姿勢を示したのは,正しい立派な対応だと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-01 16:55 | 医療事故・医療裁判