弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

第2回「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」

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「2011年8月26日 第1回医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」の議事録が厚労省のサイトにアップされています.

9月30日の第2回は,諸外国の無過失補償制度などについて説明と,飯田修平氏・加藤良夫氏・高杉敬久氏からのヒアリングがありました.

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◆ 飯田修平氏(練馬総合病院長)

「事故の再発防止・原因究明」と「責任追及」は分けて考えるべきだと強調しました.

◆ 加藤良夫氏(栄法律事務所弁護士)

「無過失補償制度」と「医療事故調査制度」を車の両輪として共に構築していく必要性を指摘しました.
基礎的なデータとなる医療事故の件数や事故による死亡者数がきちんと把握されていないとして,報告制度の確立を求めました.

◆ 高杉敬久氏(日本医師会常任理事)

日医内の委員会が取りまとめた医療事故調査制度の創設に関する提言を紹介しました.
すべての医療機関に院内の事故調査委員会を設置することや,医療界・医学会が一体的に組織・運営する「第三者的機関」で調査を実施することなどを提案しました.

◆ 医療事故件数・死亡者数の実数の把握

宮澤潤氏(宮澤潤法律事務所弁護士)は,医療事故件数・死亡者数の実数の把握や,保険会社による支払い
の年間総額などの確認が,無過失補償制度を設計する上で非常に重要になる,と述べました.
椎名正樹氏(健康保険組合連合会参与)も,集められるだけの情報を集めて提示してほしい,と要望しました.
厚労省の宮本哲也医療安全推進室長は,次回以降の会合で関連する統計資料を示す,と述べました.

◆ 医療事故と刑事責任

宮澤潤氏は,刑罰によって抑制できるケースは、「悪いことをしているという意識があるのが前提」とした上で,医療事故で刑事責任を問うのが適切かどうかは今後の問題になるとの考えを述べました.

里見座長は,刑罰に医療はそぐわないとの意見が大きくなりつつあるように思う,と述べました.

加藤氏は,非常に悪質なケースもある,何が何でも一切刑事免責というのは国民は賛同しないと思う,と述べました.

キャリアブレイン「医療事故の件数など正確に把握を- 厚労省・無過失補償制度のあり方検討会」ご参照

◆ 感想

死亡例,重度の障がい例が対象となるでしょうが,件数がわからないとどれくらいの金額になるのかわからないと,制度設計ができません.医療事故のデータが必要です.

医療事故と刑事責任は,医療従事者の意識と一般国民の意識が大きく乖離している論点です.一般的に,医療事故について医療に素人の司法が介入することが不適切である,という趣旨の考えを述べる医師がいる反面,相談者の中には,何が何でも医師を刑事告訴してほしい,という方もいます.

私は,何が何でも刑事処罰とは思いませんし,刑事処罰の謙抑性を十分勘案してほしいと思いますが,例えば,不要な治療や検査を繰り返し診療報酬の不正請求を繰り返した医師,自院に看護師に手術を承諾させ不要・不適切な手術と処置により患者(看護師)を死亡させた医師,単に面倒くさいといった理由から手術前の手洗いを怠ったり,経費を惜しんで取り換え式の刃を使い回したりした医師について,刑事免責が相当である,という意見は国民の支持を得られないと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-02 16:24 | 医療事故・医療裁判