弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

富士市立中央病院のトリクロリール過剰投与事件,東京高裁市4千万円製薬会社5千万円で和解へ(報道)

b0206085_622441.jpg◆ 事案

富士市立中央病院の医師は,2003年4月,エックス線検査の際,体重9.85キロの患者(2歳)に,アルフレッサファーマ株式会社の睡眠薬「トリクロリール」9ミリリットルを投与しました.
患者は,呼吸不全に陥って脳に障害を負い,2008年12月に死亡しました.

「トリクロリール」の添付文書には,標準的な使用量を「体重1キロにつき、0.2~0.8ミリリットル」「幼小児は年齢により適宜増減する」と表記されていました.

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◆ 裁判

静岡地裁沼津支部は,2010年12月,医師の過失を認め,富士市に約7000万円の支払いを命じました.
控訴審の東京高裁は,2011年8月、富士市が4000万円,アルフレッサファーマ株式会社が5000万円を支払う和解案を示しました.
富士市は和解案受け入れを決め,10月3日市議会で予算案が可決されました.

「これを受け、同社は3日、本紙の取材に「訴訟の長期化による遺族の負担を避け、社会的責任を果たすため、和解案を受け入れる」と説明。幼小児は増減するとした表記は誤記としたうえで「表記と男児の死亡との直接的な因果関係はないとの立場だが、誤記が事故につながった可能性はある」と述べた。」
中日新聞「製薬会社も和解受諾へ 富士市立病院男児死亡訴訟」(2011年10月4日)ご参照

◆ 感想

9.85×0.8=7.88ですから,9ミリリットルは過剰投与となります.

本来,「幼小児は年齢により適宜減量する」と添付文書に記載すべきところを,「幼小児は年齢により適宜増減する」と誤記し,アルフレッサファーマ株式会社は,この誤記が事故につながった可能性を認め,和解案を受諾することにしたわけです.

添付文書は薬の使用説明書ですから,その添付文書に誤記があった場合,製薬会社は,このように責任を問われる可能性があります.
製薬会社は,添付文書の記載に十分注意をはらってほしいと思います.

また,国が添付文書をチェックする法的枠組みも必要と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-05 06:07 | 医療事故・医療裁判