弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

欧州人権裁判所,ソロス氏がインサイダー取引法に抵触する可能性を認識できなかったとは考えられない

b0206085_8512517.jpgジョージ・ソロス氏は,1988年,フランス銀行ソシエテ・ジェネラルの買収に参加するように頼まれ,断わりましたが,後に比較的少量の株式を購入しました.
2002年,フランスの下級審裁判所は,フランス証券取引法を根拠として,この株式購入がインサイダー取引にあたると,220万ユーロの支払いを命じました.
フランスの破棄院は,罰金支払い命令を無効としたものの下級審の有罪判決を支持しました.そこで,ソロス氏は2006年12月に欧州人権裁判所に訴えました.

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欧州人権裁判所は,「ソロス氏は著名な機関投資家であり、実業界での認知度も高く、大型の金融プロジェクトにも参加していた」とした上で,同氏の地位と経験からすれば、投資を行う決定がインサイダー取引法に抵触する可能性があると「認識できなかったとは考えられない」と指摘し,類似の先例がなかったことから「同氏は特に慎重を期すべきだった」とし,人権侵害を主張した同氏の訴えを退ける判断を示しました.
まさに「認識の重さ」です.

ブルームバーグ「ソロス氏のインサイダー取引有罪判決、欧州人権裁判所が支持」(2011年10月6日)ご参照

ジョージ・ソロス氏は,ハンガリーのユダヤ人弁護士の息子で,ヘッジファンドの設立者です.
1992年のブラック・ウェンズデーで,イングランド銀行のポンド買いに対し,売り浴びせて勝ち,約10億~20億ドルの利益をあげた話は有名です.1997年のアジア金融危機時にはバーツの下落に賭け約7億5000万ドルの利益を上げました.果敢な攻めと引き際の鮮やかさは常人ではありません.
他方,慈善事業に30億ドル以上を費やしているそうです.資本主義=「自分さえよければ社会」を批判しています.

ジョージ・ソロス氏は,カール・ポパー氏の影響を受けた哲学者でもあります.ジョージ・ソロス氏によって,ポパー哲学が知られるようになったともいえます.ジョージ・ソロス氏の投資哲学の本を読むより,カール・ポパー氏の著作を読むことをお奨めします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-11 02:21 | 司法