弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ポリオワクチン問題について

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厚生労働省健康局結核感染症課長は,平成23年10月4日, 各都道府県衛生主管部(局)長宛に,「ポリオワクチンの接種に関する広報について(依頼)」という通知(健感発1004第1号)を発しました.

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通知は,
「厚生労働省では、不活化ポリオワクチンの導入に向けた取り組みを進めていますが、導入までには一定の時間を要することから、ポリオワクチン接種を待つ方が増えるとポリオに対する免疫を持たない人が増え、国内でポリオの流行が起こってしまう危険性があります。
このため、厚生労働省において、別添のとおり普及啓発用のリーフレットと、ポリオに関するQ&Aを作成いたしましたので、ご活用いただき、貴管下市町村等を通じて、住民の皆様への正確な情報提供に努めていただくようお願い申し上げます。」

というものです.

厚労省のサイトには,
「不活化ポリオワクチンが導入されるまで、ポリオワクチンを接種せずに様子をみる人が増えると、免疫をもたない人が増え、国内でポリオの流行が起こってしまう可能性が増加します。ポリオ流行のない社会を保つためには、ワクチンの接種が必要です。
生ポリオワクチンの2次感染を防ぐには、地域内で全ての乳児が一斉に接種を受けるのが、最も安全性の高い方法です。お住まいの市町村がご案内する時期に接種を受けることをおすすめします。」

と掲載されています.

もちろん,生ワクチンはウイルスを弱めただけなので,一定の割合で副作用が生じます.
そのため,輸入の不活化ワクチンを全額自費で受けるか,ワクチン接種自体を見送るという動きになっています.7月までに1万7000人以上の乳幼児が輸入の不活化ワクチンを接種しました.

厚労省の広報は,ワクチン接種自体を見送ることは止めたほうがよいというものですから,全額自費で輸入の不活化ワクチンを受ける人がさらに増えると思います.
今朝の新聞には,ナビタスクリニック立川の久住英二院長の「生ワクチンでまひが起きてからでは遅すぎる。国は緊急避難的にでも海外の不活化ワクチンを公費で接種できるようにすべきだ」とコメントがのっていました.
毎日新聞「ポリオワクチン:輸入急増 副作用恐れ自費で「不活化」」(平成23年10月14日)

親としてはより安全な輸入の不活化ワクチンを使いたいと思うのは当然ですから,海外から不活化ワクチンを一括購入してそれで接種を行うことができればそれが一番よいでしょうが,それが難しいのであれば,せめて輸入の不活化ワクチンへの或る程度の補助くらいは行うべきではないかと思います.

【追記】
毎日新聞「ポリオワクチン:神奈川「不活化」使用へ 集団接種、「生」手控え続出で」(平成23年10月15日)は次のとおり報じています.

「神奈川県は14日、乳幼児が受けるポリオ(小児まひ)の集団予防接種に、海外から輸入した「不活化ワクチン」を全国で初めて使用することを決めた。定期接種に使われている現行の生ワクチンは、ごくまれだが手足にまひなどの副作用が発生しており、予防接種を手控える保護者が増えているためだ。11月にも始め、費用は利用者の負担とする。【斎藤広子、河内敏康】」

できれば費用の一部でも援助があれば受けやすくなりますのでなおよかったと思いますが,より安全な不活化ワクチンへの切り替えは適切な措置だと思います.

厚労省は,生ワクチンを打ってください,と言ったそうです.
副作用救済制度は,単に補償金がでるだけです.
健康被害がより少ない輸入不活化ワクチンのほうを選ぶのが常識でしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-14 09:26 | 医療