弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連業務改革委員会の「専門分野登録弁護士制度」への疑問

b0206085_10191995.jpg横浜中華街のローズホテルでの「第33回医療問題弁護団・研究会全国交流集会」に参加し,昨日『専門分野登録弁護士制度と医療事故事件』についての議論を聞かせていただきました。

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◆ 業務改革委員会の提案

日弁連の業務改革委員会は,専門分野登録弁護士制度を提案しています.
韓国の30分野も視野において,最初の段階では①離婚・親権,②相続・遺言,③交通事故,④医療事故,⑤労働事件の5分野について,3年以上の実務経験と一定の処理件数と一定時間の専門研修の受講を要件にして,専門弁護士制度をはじめよう,としています。

業務改革委員会によれば,どの弁護士に依頼すれば良いのか判らない人々が適任の弁護士を容易に探せるようにとの趣旨で,専門弁護士制度をつくるとのことですが,他方で,「一般国民に対して当該弁護士の具体的な能力を担保したり,保証したりするものではありません」と述べています.

◆ その問題点

どの弁護士に依頼すれば良いのか判らない人々が,「専門弁護士」という表示を見たとき,
“取り扱い事件を限定し,その分野の事件だけを取り扱う弁護士”,
“その分野について専門的な能力を備えた弁護士”
と期待して,相談,依頼するのは当然です.

ところが,業務改革委員会がつくろうとしている制度は,“取り扱い事件を限定し,その分野の事件だけを取り扱う弁護士”でも,“その分野について専門的な能力を備えた弁護士”でもありません.
羊頭狗肉の「専門弁護士」です.
これなら,“3年以上の実務経験と一定の処理件数と一定時間の専門研修の受講した弁護士です”と表示すればよいではないですか.
消費者保護の観点から,「専門弁護士」という言葉を使うべきではない,と思います.

◆ 専門弁護士登録制度の問題点

業務改革委員会は,「医療事件専門弁護士登録制度」を上記の要件でつくり,いずれ質の担保も考えて「医療事件専門弁護士認定制度」をつくろうとのことです.

「医療事件専門弁護士登録制度」は,ユーザーに誤解を与えることになると思います.
「医療事件専門弁護士登録制度」は,名称が長くなりますが「具体的な能力を担保・保証しない,3年以上の実務経験と一定の処理件数と一定時間の専門研修の受講した医療事件を扱う弁護士を登録した制度」(略称;「能力を保証しない医療弁護士登録制度」)としたほうがよいでしょう.

◆ ユーザーにとって必要な専門弁護士制度とは

本当にユーザーにとって必要なのは,その弁護士の具体的な能力を判断できる専門弁護士制度です.
認定制度にすると,認定者に認定責任が生じます.免責条項を表示しても,クレームが生じるでしょう.それが認定制度の実現を妨げているように思います.

本気でユーザーのことを考えるなら,評価,試験のある制度は必須と思います.

専門を名乗るためには,毎年,依頼者の評価,裁判官の評価,弁護士会の試験を受けることを要件とし,依頼者がつけた評価(得点),裁判官がつけた評価(得点),試験の得点をそれぞれ公開するのがよいと思います.
得点順位が上位の弁護士に事件が集中することが考えられますが,1人の弁護士が受任できる件数には限りがありますから,中位の弁護士にも依頼が集中するでしょう.下位の弁護士は,努力し上を目指すことになるでしょう.
ユーザーは,依頼者の評価が高い弁護士を選ぶか,裁判官の評価の高い弁護士を選ぶか,試験の成績のよい弁護士を選ぶかは,それぞれの自己判断,自己責任となります.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-16 10:04 | 弁護士会