弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

親方の犯罪~「情報ライブ ミヤネ屋」からの質問

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「情報ライブ ミヤネ屋」担当の読売テレビの方から,鳴戸親方のインスリン問題に関連して,いろいろなケースについて質問があり,下記のようなお話をさせていただきました.

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親方が,自分に処方された糖尿病用のインスリンを,自ら弟子に注射していた場合は,医師法17条の「医業」にあたり,医療法17条違反となります.

親方が,インスリンを弟子に譲渡し,弟子が自分で注射した場合は,医師法17条違反になりません.
また,薬事法が禁止する譲渡は「業としての譲渡」なので,無償譲渡は薬事法違反になりません.

親方が,生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し又は暴行を用いて,インスリンの使用を弟子に強く求めた場合,強要罪となるでしょう.
さらに,インスリンの使用により,弟子の生理機能や健康状態が害された場合は,傷害罪も考えられます.

弟子が親方のインスリンを勝手に使用した場合,弟子の行為が「窃盗」になるでしょう.この場合,親方の管理に問題があれば,管理について非難されるでしょうが,犯罪にはなりません.

弁護士会の医療法律相談のため,「情報ライブ ミヤネ屋」を観ることはできなかったのですが,正確に伝わったでしょうか.

このインスリン問題は,本来ドーピングの問題として扱われることがらです.

インスリンは,世界反ドーピング機関(WADA)の禁止薬物です.
相撲協会は,アンチ・ドーピング委員会を設置し,WADAの基準に沿って禁止薬物リストを作成する予定でしたが,大西祥平氏(元慶大教授)が昨年3月に死去した以降は,うやむやとなっていた,とのことです.

インスリンは,筋肉増強,脂肪蓄積の作用があり,ドーピング禁止リストに載るべき薬物です.
糖尿病ではない人がインスリンを用いると,低血糖になるなどの副作用も起こり得るでしょう。大量のインスリンは,殺人にも使用されているくらいです.糖尿病ではない人がインスリンを用い続けると,体内のインスリン生成へ影響を与える可能性もあるかもしれませんね.

もちろん,糖尿病の人は,インスリンの生成が不足しているため,注射でインスリンを補うことが大事です.糖尿病でインスリンを処方されている方は,安心してインスリンを使い続けてください.

【追記】
毎日新聞「大相撲:インスリン注射「鳴戸親方が教えた」 協会報告書」(2011年11月11日)によれば,
「日本相撲協会は11日、鳴戸部屋での十両・隆の山(チェコ出身)のインスリン投与と力士への暴行問題に関する調査報告書を文部科学省に提出した。インスリン投与問題では、急逝した鳴戸親方(元横綱・隆の里)が注射の打ち方を教え、隆の山が自ら打っていたことが明らかになった。協会は薬物禁止規定でインスリンを指定していないため、専門委員会を設置して反ドーピング対策を整備する方針を示した。

 報告書によると、鳴戸親方は隆の山に対し、太る効果のあるインスリン投与を医師に相談せずに勧め、隆の山自らが注射を打った。投与は09年秋から10年秋まで断続的に行われた。」
とのことです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-09 16:47 | 医療