弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

京都大学医学部附属病院,血液浄化装置取り違え事故で患者死亡

b0206085_3135381.jpg◆ 報道

京都大学医学部附属病院で,脳死肝移植手術を受けた50歳代の男性患者が透析用の機器を取り違えで死亡する医療ミスが報じられました.

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朝日新聞「京大病院、透析装置を間違え患者死亡 府警が捜査」(2011年11月15日)は,次のとおり報じています.

「京大病院によると、患者は今月5日、脳死による臓器提供での肝臓移植手術を受けた。経過が良好だったため一般病棟に移った。もともと腎不全で透析を受けており、12日夜に当直医2人が透析用の濾過(ろか)装置を交換した。ところが、その約3時間後に血圧が低下するなど容体が悪化。治療を受けたが、翌13日午前10時50分に死亡した。」

 その後の調査で、付けられていた透析用の装置が、血液中の老廃物を取り除く本来の装置ではなく、血液の成分を分離するための別の装置だったことが分かった。当直医の指示で看護師が装置を取りに行き、保管場所の隣にあった別の装置を誤って持ってきた。当直医も確認を怠って装着したという。装置は形は似ているが、色や大きさは違う。」


◆ 感想

腎臓疾患に用いられる透析用の白色の濾過装置ではなく,肝臓疾患に用いられる血液中の成分を取り除く緑色の血液分離装置が装着されていた,ということなのです.
どちらも筒状で,確かに形状は似てはいますが,大きさ,色が違います.
交換した医師は,大きさなどの違和感を感じていた,とのことです.当直医2人がいながら,非常に残念です.

ところで,看護師と医師の連携作業の過程で事故がおきた場合,看護師の過誤か,医師の過誤か,両者の過誤の競合か,誰の過誤でもないのか,が問題になります.

まず,仮に,医師が曖昧な指示をだした場合,医師の指示について注意義務違反が考えられます.また,同時に,看護師のほうも曖昧な指示を自分勝手に解釈して判断せず,確認する注意義務があります.肝臓移植手術を受けた患者なので,肝臓疾患に用いられる緑色のものと思い込んでいたのかもしれませんが,曖昧な指示については確認する義務があります.

次に,医師は,看護師が持ってきた物を確認する注意義務があります.信頼して,渡された物をそのまま装着してよい,ということにはなりません.実際,大きさ,色が異なり,違和感を感じる物だったのですから,確認する注意義務があります.

京大病院以外でも起こり得ることかもしれませんので,再発防止のために,京大病院には,本件について綿密な調査を行い,調査報告書を発表していただきたい,と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-15 00:20 | 医療事故・医療裁判