弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医師法第17条違反で院長ら逮捕

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医師法第17条は,「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と定めています.
その医師法違反の疑いで,北海道石狩市の「はまなす医院」の院長らが,11月27日,逮捕されました.

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毎日新聞「医師法違反:技士が血管拡張手術 院長ら3容疑者逮捕--北海道・石狩」(2011年11月28日)は,次のとおり報じています.

「医師しかできない血管拡張手術を臨床工学技士らがしていたとして、北海道警は27日、北海道石狩市の診療所「はまなす医院」院長、××××(65)▽臨床工学技士、××××(60)▽准看護師、××××(47)の3容疑者を医師法(非医師の医業禁止)違反容疑で逮捕した。××容疑者は09年以降約150件の拡張手術に関与したといい、道警は違法な医療行為が常態化していた可能性があるとみて追及する。

 容疑は09年4月 ̄今年4月、医師ではない××、××両容疑者が人工透析患者3人に対して血管にカテーテルを挿入し、風船を膨らませて血管を拡張する「シャントPTA手術」を行ったとしている。道警は××容疑者の指示で××容疑者が手術を担当し、××容疑者が補助したとみている。××、××両容疑者は否認し、××容疑者は大筋で容疑を認めているという。

 この手術は人工透析の効率を上げるために行われ、臨床工学技士には最初に留め置き用の針を挿入する補助行為しか認められていない。血管破裂など重大事故を引き起こす危険もあるため、道警は悪質性が高いとして強制捜査に踏み切った。

 同医院は94年設立。入院病床19床のほか人工透析用のベッドが26床あり、透析患者が大半を占めていたという。常勤医は院長の××容疑者のみで、道警は透析患者が増加傾向にある中で、××容疑者が日常的に××容疑者に血管拡張手術を任せていた可能性があるとみて調べている。

 3年前から通院しているという近所の男性(75)は「院長は気さくで頼りになる先生。先生がいないと医院が開くのか心配だ」と不安そうな様子だった。【伊藤直孝、小川祐希】」


「技師,看護師に許される行為」と「医療行為」の境界には,曖昧な部分があります.
しかし,血管にカテーテルを挿入しバルーンを膨らませ血管を拡張していたとすれば,さすがにこれを医療行為(医業)ではない,とは言えないでしょう.
 院長が,技師に,血管にカテーテルを挿入しバルーンを膨らませ血管を拡張するよう指示することは,いくら医師不足であったとしても,患者を危険にさらすことになるので,常識的に考えられないことです.

「道警は悪質性が高いとして強制捜査に踏み切った」と報道されていますが,通常逮捕の要件は,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」であって,悪質性は問題になりません.
「逮捕の理由」とは「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」,すなわち「嫌疑の相当性」をいいます.「逮捕の必要性」とは「逃亡・罪証隠滅のおそれ」をいいます.

 医療界には,医療者の逮捕に反対する声が強いようですが,逮捕の要件を吟味して正しく適用すべきことは,医療者に限りません.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-29 02:54 | 医療