弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

刈谷豊田総合病院,時間外割増賃金請求訴訟で和解

b0206085_7324791.jpg12月15日、名古屋地裁で、勤務医が医療法人豊田会刈谷豊田総合病院に2009年4~9月の時間外割増賃金約280万1千円の支払いを求めていた訴訟(2010年10月提訴)は,ほぼ全額の280万円を病院が支払うことで,裁判上の和解が成立しました.賢明です.

原告医師は,複数の分娩の処置をし帝王切開手術をするなど昼間と同様の仕事をこなしたので,時間外割増賃金が支払われるはずなのに,より安い当直手当しか支払われなかったため,病院の就業規則で決められた時間外勤務の割増率に基づいて賃金を計算そ,受け取った当直手当を差し引いた金額を請求していました.

中日新聞「時間外賃金訴訟で和解 刈谷の病院」(2011年12月16日)は次のとおり報じています.

「厚生労働省の指針では、医師の当直勤務は、病室の巡回や検温などの軽い業務に限るとし、昼間と同じ労働は時間外勤務として扱うことを求めているが、浸透せず全国で過重労働の実態が指摘されている。

 女性医師は「病院が不当な労働を認識したと和解を受け止めた。全国では医師の労働環境が悪い病院が多く、環境改善につなげてほしい」と話した。刈谷豊田総合病院は「長期間の紛争を続けるのは本意ではない。円満な和解による解決をした」とコメントを出した。」


宿直時間でも,通常の勤務時間帯と同じような仕事をさせているなら,宿直手当ではなく,時間外割増賃金とを支払わねばなりません.このことは誰もが知っていることと思います.ところが,通常の勤務時間帯と同じような仕事をさせていないという病院側の勝手な判断で時間外割増賃金が支払わないケースがあり,これは明らかに違法です.

刈谷豊田総合病院の件がたまたま訴訟になり報道されただけで,全国の他の病院でも多かれ少なかれ同様の状況だと思います.
勤務医の業務内容にみあった時間外割増賃金を支払うよう改善すべきと思います.

日本の医師の平均労働時間は週70時間です.ヨーロッパは平均は48時間です.日本の勤務医は働きすぎ,働かされすぎでしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-18 11:31 | 医療事故・医療裁判