弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

弘前大学医学部付属病院の診療拒否訴訟,患者側控訴の方針

b0206085_405382.jpg毎日新聞「弘前大の診療拒否:損賠訴訟 簡裁、夫婦の訴え棄却 原告、控訴の方針 /青森」(2011年12月17日)は,次のとおり報じています. 

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「青森市に住んでいた40代夫婦(現在は山形市在住)が、不妊治療を受けられなかったのは診療拒否に当たるとして、弘前大と医学部付属病院の産科教授を相手取り140万円の損害賠償を求めた訴訟で、弘前簡裁(齋藤健一裁判官)は「病院が実質的に診療を拒絶したと解釈できるが、拒絶には正当な理由がある」として原告の訴えを棄却した。原告代理人は青森地裁に控訴する方針。

 判決などによると、夫婦は08年から同病院で不妊治療を受診。培養器のトラブルで同年10月に人工受精卵5個が成育不能となったのは病院の過失だとして10年8月、同大に慰謝料など1830万円の支払いを求める訴訟を地裁弘前支部に起こした。病院側は翌9月、妻に転院と診療延期を求める文書を通知したため、夫婦は「医師法19条(応招義務)違反の診療拒絶に当たる」として11年4月、弘前簡裁に別の訴えを起こした。

 齋藤裁判官は「不妊治療は予約なしにできず、実質的に診療を拒絶したと解することができる」とした上で、「先行する訴訟で信頼関係が失われ、患者の治療に緊急性がなく、不妊治療を行う別の病院もあることから、病院には診療拒絶できる正当な事由がある」と述べた。先行する訴訟は審理が続いている。【松山彦蔵】」


弘前簡裁は,訴訟を理由に診療を拒否できるか,という問題について,緊急性がなく,他院で治療できる場合には,診療拒否できると判断しました.

しかし,病院が医療過誤を起こし,患者がその賠償を求めても病院は賠償に応じず,患者がやむなく提訴したら病院が信頼関係喪失を理由に診療拒否ができる,というのは,疑問です.
このような裁判例が定着すると,診療拒否されたら困る状況でば,患者は医療過誤に遭っても損害賠償請求すらできず,泣き寝入りしかない,ということになります.

東京電力を訴える人には,信頼関係が壊れたから,他に自家発電があるから,電力供給を止めてもよい,というのと同じです.
正当な権利行使に対し診療拒否が許されるのは,いかにもおかしいと思います.
控訴審に注目しましょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-21 02:36 | 医療事故・医療裁判