弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

水俣病(メチル水銀中毒症)を食中毒として食品衛生法に基づき保健所に届け出

b0206085_1445454.jpg熊本水俣病は,チッソが廃液を海に流し,廃液に含まれるメチル水銀が魚介類に蓄積し,その魚介類を食べた人に発症した,メチル水銀中毒症です.
新潟水俣病は,昭和電工が流した廃液によって,同様に発症したメチル水銀中毒症です.
「水俣病」というより,「メチル水銀中毒症」というほうが実態を正確に表現しています.

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岡山大学大学院教授津田敏秀氏らは,2012年1月6日,食品衛生法に基づき確認した被害を食中毒として,天草市の県天草保健所に届け出ました.

食品衛生法第58条1項は,「食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。」

この規定に基づいて届け出を行ったわけです.

2項以下は,次のとおりです.

2項  「保健所長は、前項の届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは、速やかに都道府県知事等に報告するとともに、政令で定めるところにより、調査しなければならない。」

3項  「都道府県知事等は、前項の規定により保健所長より報告を受けた場合であつて、食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し、又は発生するおそれがあると認めるときその他厚生労働省令で定めるときは、直ちに、厚生労働大臣に報告しなければならない。」

4項  「保健所長は、第二項の規定による調査を行つたときは、政令で定めるところにより、都道府県知事等に報告しなければならない。」

5項  「都道府県知事等は、前項の規定による報告を受けたときは、政令で定めるところにより、厚生労働大臣に報告しなければならない。」

このように,行政は,届け出を受けて調査・報告を行う義務があります.

くまにちコム「「水俣病は食中毒」 岡山大大学院教授ら届け出」(2012年01月07日)は,次のとおり報じています.

「水俣病で過去、行政は同法を適用したことがない。同法は、食中毒を確認した医師の保健所への届け出と、保健所の調査を義務付けている。津田教授らは2001年にも同様に届け出たが、保健所は「原因究明や被害防止が既に済んでいる」などとし、食中毒として取り扱わなかった。

 今回は、水俣病特別措置法の未認定患者救済が進む中で、同法の対象地域外にも被害者がいるとして、再び届け出た。対象地域から外れている上天草市姫戸町で、70代と60代の男性を診察。汚染された魚介類を多食した経歴や、感覚障害などの症状を確認した。

 その後、津田教授らは天草市の県天草保健所に「メチル水銀中毒症(水俣病)」を届け出。対応した担当者は「書類は預かります」と述べた。県健康危機管理課の末廣正男課長は「調査を始めるかどうか検討し始めた段階で、まだ結論は出ていない」としている。

 水俣病に対する食品衛生法の適用をめぐっては1957年、同法に基づく水俣湾の漁獲禁止の可否を熊本県が照会。厚生省(当時)は「水俣湾の魚介類すべてが有毒化しているという明らかな根拠がない」と回答し、県が適用を見送った経緯がある。(石貫謹也)」


水俣病は現在ではメチル水銀中毒症と判明していますから,食品に起因する中毒に該当しますので,調査開始を怠るわけにはいかないと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-01-09 09:26 | 司法