弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

橋下市長,生活保護受給者の過剰診療が疑われる場合は検診命令を発令し,従わないときは保護停止も

b0206085_16295457.jpgにほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

読売新聞「生活保護受給者の受診機関を独自認証、大阪市が検討 過剰診療の排除図る」(2012年1月13日)は,次のとおり報じました

「大阪市の橋下徹市長が、過剰診療などの不正請求対策として、受給者が診療できる医療機関を、市が独自に認証する制度を検討していることがわかった。不正請求を繰り返す悪質な医療機関を排除するのが狙い。過剰診療が疑われる場合は、別の医療機関で診療させる「検診命令」を発令し、従わない場合は保護停止も辞さない構えだ。

 医療扶助は、受給者が自己負担なしで診療や投薬を受けられ、費用は全額公費で支払われる。医療機関側が不正請求を重ねても発覚しにくく、意図的に過剰診療を繰り返す例があるなど、モラルハザード(倫理の欠如)を招きやすいとの指摘がある。

 生活保護受給者が約15万人(昨年12月)と全国最多の大阪市では、2010年度の医療扶助費が、生活保護費全体の約45%にあたる約1292億円に上り、財政を圧迫している。

 新制度では、国が指定する保険医療機関や生活保護法に基づく指定医療機関とは別に、市が独自に医療扶助の利用に適切な病院、診療所などを認証することを想定。認証された医療機関のみに医療扶助を支払う仕組みを目指すという。

 また、受給者の通院日数や1件あたりの診療報酬が突出している際には、別の医療機関での診療を命じ、過剰診療や不適切診療を防ぎたいとしている。市内最多の西成区では、ほぼ4人に1人が受給者で、橋下市長は同区での先行実施も視野に入れている。

 ただ、認証する医療機関や過剰診療の基準設定が難しく、関係法との整合性などから制度設計が難航する可能性もある。」


認証医療機関の基準・数はどうするつもりなのでしょうか.診療報酬が多いだけでは,「過剰診療」「不適切診療」とは言えないでしょうから,診療の内容を公正に検討する基準・仕組みがないと,今度は,不当な診療抑制につながりかねません.本当に不正な過剰診療を行われているなら,保険医の取り消しなどを含め,その医療機関にペナルティを課すべきで,生活保護者だけ受診抑制するのは,疑問です.
検診命令は,生活保護者の健康のために認められている制度であり,このような使い方は制度の趣旨を逸脱しています.医療費抑制だけに目を奪われ,患者の医療を受ける権利が損なわれることになると,重大な人権侵害になります.
角を矯めて牛を殺すことのないように願います.

谷直樹
下記バナーのクリックを御願いいたします.クリックは一日一回有効です.7日間のクリック数合計が順位に反映します.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-01-16 10:44 | 医療