弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療情報の提供のあり方等に関する検討会,客観性を担保した「患者満足度」の公表に消極意見

b0206085_915441.jpg◆ これまでの議論

検討会のこれまでの議論は,「医療の成果に関するアウトカム指標」「医療の過程に関するプロセス指標」について,客観的を担保して公表する方向でした。

そこで,報告書案は,①「医療の成果に関するアウトカム指標」の中でも患者のニーズが高いと考えられる「患者満足度」,②「医療の過程に関するプロセス指標」の中でも客観性の確保が比較的容易と思われるものについて,客観性の確保に取り組み,公表する方向性を示しました.

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◆ 加納繁照委員,鈴木邦彦委員の意見

ところが,これに対し,加納繁照委員(日本医療法人協会副会長)は,「客観的にサービスが評価されるのは非常に大事だが,患者が過度なサービスを依頼するようになる。現場が非常に疲弊している中で,患者満足度という言葉に懸念を持っている」と述べ、患者満足度が大きく取り上げられることで医療従事者の負担が増える可能性を強調し,消極論を展開しました.

鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)も,「医療従事者の負担軽減と逆行しかねない」と述べ,加納委員に賛同し,「公表に向けたデータの集計には、ものすごくコストがかかる」と指摘しました.

長谷川敏彦座長(日本医科大)は,「アウトカム指標が病院経営上必要で,その中でも患者満足度が重要というのは,委員全員の合意だが,外部への出し方にはいろいろある」と述べ、次回会合で引き続き検討することとなりました.

キャリアブレイン「患者満足度公開に医療者側委員が“待った”- 医療情報提供検討会、年度内取りまとめへ 」(2012年2月1日)ご参照

◆ 感想

「患者満足度」の向上に努めている医療機関と,さほどではない医療機関を客観的に知りたい,という患者側の要請は当然と思います.
客観性を担保した「患者満足度」の公表は,医療の質の向上にもつながるはずです.

たとえば,一流レストラン並の病院食は過度のサービスと言えるでしょうが,説明と医療の中核について,より良い質を求めるのは,過度の要求でしょうか.
「患者満足度」の公表が過度の競争を招き,医療機関の負担が増えかねないので,公表せず,患者満足度向上への努力を行わないようにしよう,というのは,何か違う気がします.
公表の仕方で弊害は防止できると思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-02-02 01:55 | 医療