弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

薬害オンブズパースン会議が新型インフルエンザ等対策特別措置法制定に反対

b0206085_18335280.jpg薬害オンブズパースン会議は,2012年3月19日,「新型インフルエンザ等対策特別措置法案に対する緊急声明」を発表しました.緊急声明の内容は,新型インフルエンザ等対策特別措置法の制定に強く反対する,というものです.

◆ 過大な被害想定

入院患者数約200万人,死亡患者数約64万人という被害想定(新型インフルエンザ対策行動計画p6)」は,100年ちかく前の1918年に発生したスペインインフルエンザのデータを元に推計したものであり,現代にはあてはまらず過大な想定とのことです.

◆ 水際対策の問題

声明は,港・空港での検疫と感染者の停留措置(29条),船舶・航空機の来航の制限要請(30条)について,「現代における国際交通網の発達や、インフルエンザの潜伏期間(1~5日)、不顕性感染者の存在などからすれば、たとえ国内侵入を遅らせる目的としても、水際対策にはデメリットを上回る有意な効果は期待できない」と述べています.

◆ ワクチン接種の問題

声明は,「インフルエンザワクチンの接種(28条、46条)に感染防止効果がない」「流行防止効果や重症化予防効果についてもエビデンスはない」と述べています.
また,そもそも,新型のウイルスに適合するワクチンを流行期前に供給することは困難なことも指摘しています.全国民分を生産した頃には流行期が終わっている可能性もあるでしょう.

◆ 施設の使用・催物開催の制限等の問題

「学校、社会福祉施設、興業場その他の多数の者が利用する施設の使用・催物開催の制限」(45条)は,治安維持法の集会制限を想起させます.
これについて,声明は,「人が不特定多数人と接触する機会は多様に存在することからすると、催物の開催や特定施設の利用を制限したとしても、効果は期待できない」と述べています.
「その他の多数の者が利用する施設」として,裁判所,病院,スーパー,コンビニ,駅,電車などの利用を制限するのは実際上不可能でしょう.一部の施設,催物だけを制限したところで,感染防止の効果はあまり期待できないでしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-21 23:15 | 医療