弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

全身麻酔の際モニター機器を使用しなかった整形外科医院の医師,業務上過失致死容疑で書類送検される

b0206085_12523896.jpg福岡市博多区の伊藤整形外科医院の医師(45歳)は,2010年4月9日,鉄棒から落ちて右ひじを骨折した男児(当時4歳)の骨折部位を固定する手術のため全身麻酔を実施しました.
その際,モニター機器を使用していなかったので(手術の直前につけるつもりだったとのことです.),医師が男児の容体急変に気付くのが遅れました.男児は心肺停止となり,医師は蘇生を試みました(自ら対処できると思った,とのことです.).
みかねた家族が119番し,救急病院に搬送されたのは,医師が容体急変に気づいてから約50分後でした.
男児は,同年6月18日転送先の病院で多臓器不全のため死亡しました.

福岡県警は,この医師が,呼吸を確保するチューブを挿管する際,モニター機器を使用せず容体の悪化に気付くのが遅れたことを重視し,早急に救急病院に搬送するなど適切な措置をとる注意義務を怠ったため男児が死亡するに至ったと判断した,とみられています.

この医師は任意の聴取に対し「モニタリングしていれば早く気づいて手を打つことができた」と容疑を認めているとのことです.

読売新聞「麻酔後急変し4歳児死亡、男性医師を書類送検」(2012年4月3日)ご参照
msn産経「4歳男児死亡で医師を書類送検 モニタリング怠った疑い 全身麻酔直後に」(2012年4月3日)ご参照
毎日新聞「医療事故:福岡市の病院医師を書類送検」(2012年4月3日)ご参照


外科医1人で全身麻酔と手術を行うのは大変ですが,だからこそ必ずモニター機器を使用しなければいけないと思います.全身麻酔の際にモニター機器を使用しなかったことの過失は,「重大」と言えるのではないでしょうか.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-03 16:20 | 医療事故・医療裁判