弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

富山刑務所視察委員会,搬送の遅れ指摘し説明と再発防止を求める

b0206085_6343814.jpg富山刑務所で,搬送が遅れ受刑者死亡」の続報です.

刑務所の対応に問題がある事案で,富山刑務所視察委員会は,説明と再発防止を求める意見書を刑務所に提出しました.

読売新聞「出所直前、受刑者が急死…救急車要請まで5時間 」(2012年4月17日)は,次のとおり報じています.

「富山刑務所(富山市)で2月、70歳代の男性受刑者が容体急変後に死亡し、同刑務所の外部委員会が16日、「死亡に至る過程に多くの不適切な点があり、深刻な事案」と指摘する意見書を刑務所に提出したことが、関係者への取材でわかった。

 刑務所が救急搬送を要請した5時間以上前に容体が急変しており、「直ちに救急車を要請すべきだった」と批判している。意見書は、説明と再発防止策、それらの公表を求めている。

 調査していたのは、同刑務所視察委員会(委員長・福島武司弁護士)。視察委員会は、刑務所運営の透明性を確保するため、2006年から各刑務所に設置され、地域の弁護士や医師らで組織されている。

 意見書や刑務所への取材によると、男性は昨年6月に入所。糖尿病などの持病があり、脳梗塞で体が不自由で、単独室で寝起きしていた。1月下旬から自分で食事ができなくなり、刑務官らが介助をしていた。

 死亡した2月5日は、朝から何も食べられず、液体の栄養剤も吐き出した。日曜で休みだった常勤看護師が呼び出されたが、「30分ごとの動静確認」を指示して午前中に帰宅した。

 男性は午後5時頃に意識がもうろうとなり、同5時28分、午前の診察で1分間に50だった脈拍が38まで低下。同8時35分頃には、声かけに返事がなかったが、監督当直者の刑務官は「昨年12月に低血糖障害で昏倒(こんとう)したときよりも症状は軽く、生命に別条はない」と判断したという。容体がさらに悪化した後、刑務所は午後9時30分に再び看護師を呼び出していた。

 当直者が救急搬送を要請したのは午後10時35分。男性は搬送先の病院で午後11時52分に死亡した。刑務所では昨年11月に常勤医が退職し、医師がいなかった。

 意見書は、刑務所に対処マニュアルがなく、午前中の様子から急変を予想できたのに「備えがまったくなされなかった」とし、脈拍低下以降に4回、救急搬送要請や医師への相談など措置を取るべき機会を逸したと指摘。「男性は、翌月には刑期満了を迎えるというタイミングで死亡しており、結果は重大」としている。」


【追記】

朝日新聞「富山刑務所「適切に医療措置」受刑者死亡 視察委に回答」(2012年8月29日)は,次のとおり報じています.
 
「富山刑務所(富山市西荒屋)で2月、持病のある受刑者が死亡し、同刑務所の視察委員会(福島武司委員長)が「死亡に至る過程で不適切な点がある」とする意見書を刑務所に提出していた問題で、同刑務所が「対応が明らかに不適切であったとは考えていない」などと回答していたことがわかった。

 同委員会は4月中旬、死亡受刑者の健康管理上の問題点を明らかにし、再発防止策を定めることなどを意見書で求めていた。


 同刑務所の回答書は5月30日付で、それによると、死亡受刑者が入所から死亡に至るまでの間、「医師らにより適切な医療上の措置が講じられていた」とし、健康管理上の問題はなかったとしている。


 再発防止策では、これまで急患発生時に監督当直者は職員3人を確保した上で救急車を要請していたが、今後は救急車要請を優先する▽現在は非常勤の医師が交代で診察しているため、夜間や休日の急患発生時には富山市の救急医療センターに迅速に相談などし、「引き続き常勤医師の確保に努める」としている。


 この回答について福島委員長は「回答は医師の意見が入ったものではなく、医療の素人だけで作成されたもの。今後は毎年、年度末にまとめている意見書で再度見解を伝えることになる」と話した。」


刑務所側は,弁護士や医師で構成された委員会の意見書を否定し,明確な根拠を示すこと亡く適切と主張しています. このような感覚こそが問題です.

 
谷直樹
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by medical-law | 2012-04-17 17:21 | 医療