弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

基本合意,骨格提言を反古にする野田政権,障害者自立支援法廃止見送りを決定

b0206085_4102963.jpg

政府(当時は鳩山内閣)は,自公政権下で制定された障害者自立支援法を廃止し、新たな総合的福祉制度を定めると約束し,原告団と和解し,障害者自立支援法違憲訴訟を収束したにもかかわらず,現政府(現在は野田内閣)は,自立支援法を見送りとすることを決めました.
国が,裁判所で原告団と交わした和解に反し,基本合意,骨格提言を反古にするなど,法治国家ではあり得ないことです.

読売新聞「自立支援法廃止見送り」(2012年4月17日 読売新聞)

障害者「約束ないがしろ」 弁護団、来月にも集会
政府がいったん約束した、障害者自立支援法の廃止を見送り、改正にとどめる方針を決めたことから、県内の障害者や違憲訴訟の埼玉原告・弁護団が「約束違反だ」と批判を強めている。改正案は「障害者総合支援法」と名称変更し、福祉サービスの対象に難病患者を含めることを盛り込んで、民主、自民、公明の3党合意により今国会で成立する見通し。原告弁護団は5月にも集会を開き、今後の対応を協議する。

 「“国約”がないがしろにされた。認めるわけにはいかない」。長女・育代さん(39)が重度の障害を抱える川口市の新井たかねさん(65)は声を荒らげた。

 育代さんは蓮田市の障害者支援施設「大地」に入所して9年。当初は施設利用料として月額3万4100円を負担していたが、2006年の自立支援法施行以降、食費や水道使用量、光熱費が実費となり、毎月5万円前後の出費が重くのしかかるようになった。

 新井さんと夫は既に現役を退き、月8万円弱の障害基礎年金でまかなうのは容易ではない。「私たちがいなくなったら、いったい誰がこの子を守っていくのか」。新井さんは不安げに話す。

 新井さんは、3月13日の閣議決定の前に開かれた、訴訟原告団向けの説明会に参加した。新井さんによると、約300人の参加者の中で政府の提案に賛同する人はおらず、「(政府が廃止の約束を受け、新法制定に向けてまとめた)骨格提言が、まったく生かされていない」と主張したが、「これが事実上の廃止」と説明されたという。

 新井さんは「信じられなかった。政府は私たちの意見をどう受け止めているのか」と憤りを隠さない。

 厚労省の担当者は、「廃止にして新法にすると、現在受け入れているサービス事業者の指定などを一からやり直すことになり、自治体や事業者が混乱を起こす」と説明する。

 同省によると、10年4月から低所得者の自己負担を原則無料としたことで、総給付費1兆6000億円のうち、3~5%だった障害者の負担率は0・38%に引き下がったといい、「(自立支援法は)実質的には廃止」とする。

 だが、現行法下では、低所得者かどうかは配偶者の収入も考慮して判断される。同省の担当者は「日本の法体系では、扶養義務の考えが根幹にあり、自立支援法だけを切り離して考えることはできない」としている。

 弁護団の柴野和善弁護士は「難病患者まで対象を広げたことは評価できるが、基本合意は守られていない。これからも世論に訴えていく」と話している。

◆障害者自立支援法◆ 身体、知的、精神の各障害種別で分かれていた制度を一本化した、医療・福祉サービスの総合法。障害者の人格を尊重し自立を促す目的で、自民党政権下の2005年10月に成立、06年4月に施行された。

 福祉サービスを受けるのに、原則1割が自己負担となることなどから、「憲法の保障する生存権の侵害だ」などとして、08年10月~09年10月、全国の障害者ら71人が計14地裁に違憲訴訟を起こした。

 同法廃止をマニフェストにうたった民主党に政権が移り、10年1月、当時の鳩山内閣が「13年8月までに同法を廃止し、新たな総合的福祉制度を定める」などとする基本合意を原告側と締結。同年3月のさいたま地裁を手始めに、14地裁すべてで和解が成立していた。」


谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-17 20:18 | 福祉