弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

薬害イレッサ,西日本訴訟原告団も上告

キャリアブレイン「イレッサ訴訟、西日本原告団も上告- 「誰の責任か明確にする」と中島弁護団長 」(2012年6月5日)は,次のとおり報じました.

「肺がん治療薬「イレッサ」の副作用をめぐる訴訟で、西日本訴訟原告団は5日、アストラゼネカ社の過失を認めた一審判決から一転し、原告の訴えを全面的に棄却した大阪高裁の判決を不服として、最高裁に上告した。

原告らは同日、厚生労働省内で記者会見を開き、西日本弁護団の中島晃団長は、「多数の死者が出ているにもかかわらず、企業や国の責任が否定されることになれば、国民の生命や安全は守れない。多数の被害を出したのは誰の責任かを明確にし、薬害イレッサを全面解決するために最後まで戦い抜く」と強調した。

 また、全国薬害被害者団体連絡協議会の花井十伍代表世話人は、「(医薬品と副作用の)因果関係の強弱は存在すると思うが、判決はそれを過剰に重視している」と述べ、医薬品のリスクなどに対する予防原則から逸脱するものと批判した。

 さらに、「イレッサは広範なプロモーションが行われており、患者はそれらの情報を基に優れた安全な新薬という印象を持っていたのは明らか」と指摘。その上で、「専門家ではない国民が情報を見るので、いろいろな形で規制を掛けていく必要がある」と強調し、宣伝や広告の在り方についても、最高裁でしっかりと検証するよう求めた。」


薬害イレッサ訴訟統一原告団・弁護団は,2012年6月5日 上告に際し,次の声明を発表しました.

「本日,薬害イレッサ西日本訴訟原告団は,5月25日に大阪高等裁判所第6民事部(渡邉安一裁判長)が言い渡した国と企業の責任を否定する極めて不当な判決に対し,最高裁判所に上告及び上告受理申立てを行った。

大阪高裁判決の判断は,薬事法上,承認前に集積された副作用報告症例に関して,医薬品との「因果関係が否定できない」ものを副作用と扱い,これに基づき添付文書による警告等を行うことが求められているにもかかわらず,各副作用症例について「因果関係の濃淡」を問題とし,結果的に因果関係が濃厚と言える状態に至らなければ,安全対策をとる義務が発生しないというに等しい。
これは,昨年11月に言い渡された東京高裁判決とその内容において軌を一にするものであり,東京高裁判決同様に極めて不当な判断と言わなければならない。

過去の多くの薬害事件は,企業と国が予防原則に基づいて,安全対策をとることの必要性を示しており,薬事法や添付文書の記載要領も,このような考え方に立って改訂されてきたのである。大阪高等裁判所の判決は,この幾多の薬害事件によって積み上げられてきた到達点を根底から覆えさんとするものであり,本判決を前提とすれば,およそ薬害を防止することなどできない。

不法行為法,製造物責任法の解釈を誤り,薬害事件に関する多くの裁判例や筑豊じん肺最高裁判決,関西水俣病最高裁判決を初めとするこれまでの国賠訴訟の判例とも真っ向から反する違法・不当な判決である。

また,本判決は,肺がん治療医であれば,初版添付文書で十分に間質性肺炎の致死的危険性を理解しえたとするなど,ソリブジン薬害事件の教訓を没却し,現場の医師に責任を転嫁する点においても極めて不当である。
何より,この判決理由では,承認から半年で180人もの間質性肺炎による死亡者を出し,添付文書の改訂と警告により,被害が減少したことを全く説明できない。

本判決は,将来の医薬品の安全対策,薬事行政に禍根を残し,司法に対する国民の信頼を失わせるものであり,断じて確定させることはできない。

私たちは,薬害イレッサ事件の全面解決まで闘い抜く所存である」


生存原告の清水英喜さんは,次の談話を発表しました.

「本日,私たち薬害イレッサ訴訟西日本原告団は,先月25日に言い渡された大阪高裁判決に対して上告及び上告受理の申立を行いました。

大阪高裁判決は,国とアストラゼネカ社の責任を否定し,わたしたち薬害イレッサの被害者を切り捨てる不当判決でした。

わたしたちは,この国から薬害を根絶するために,断じてこのような不当な判決を確定させることはできません。

東京,大阪の両高等裁判所では,私たちの主張は認められませんでしたが,司法の最高機関である最高裁判所においては,必ずや私たち被害者の声が届き,不当な両高裁判決が見直され,正しい結論を導いていただけるものと信じております。

わたしたちは,薬害イレッサ事件が全面解決する日まで最後まで戦い抜きます。皆様のご支援をよろしくお願い致します。」


これで最高裁の真価が問われることになります.

谷直樹
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by medical-law | 2012-06-06 00:44 | 医療事故・医療裁判