弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

兵庫県立尼崎病院,挿入したチューブを抜き取る際ちぎれて約4センチが体内に残った事故(報道)

神戸新聞「患者体内にチューブ残す 兵庫県立病院で医療ミス」(2012年6月13日)は,次のとおり報じています.

「兵庫県病院局は12日、県立尼崎病院で2009年7月に行った大阪市内の男性患者(71)の股関節の手術で、体内に挿入したチューブを2年半も体内に残す医療ミスがあったと発表した。県立病院で1~3月に報告された医療事故はこれを含めて計2件だった。

 病院局によると、男性は股関節を人工関節に換える手術を受けた。その時に挿入したチューブを抜き取る際、一部がちぎれて約4センチが体内に残った。昨年12月の診察で判明し、今年1月に摘出。男性に歩行障害はないという。チューブに想定以上の負荷がかかったとし、強度の高いものに切り替えるという。

 また、県立西宮病院では、今年1月に行った西宮市内の女性(74)に対する白内障手術で、目に挿入するレンズの度数を誤るミスがあった。術後の検査で分かり、再手術した。電子カルテの操作を誤り、別の患者のレンズを選択したのが原因といい、元データとの照合を徹底するという。(井関 徹)」


本件はドレーンのチューブを抜くときの事故ですが,一般にカテーテル・チューブの添付文書には,抜去するときは,挿入時と同じ体位でゆっくり抜くこと,とされています.これは,カテーテル・チューブがちぎれて体内に残ることを防止するのと同時に,とくに血液凝固機能など血液に異常がある患者の硬膜外麻酔のカテーテル・チューブを抜く時に血腫が出来て神経を圧迫することがないようにするためでもあります.
カテーテル・チューブは,抜去時にも細心の注意が必要です.

谷直樹
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by medical-law | 2012-06-13 00:55 | 医療事故・医療裁判