志木市立市民病院,看護師が小児科医の誤った指示に基づき,投薬(報道)
「埼玉県志木市の市立市民病院は26日、胃腸炎などの症状で来院した女児(2)に吐き気を抑える座薬を投与すべきところを、男性小児科医(63)が誤った指示を看護師に出し、別の座薬を2歳児の用量を上回る量で使用したと発表した。
投与後、医師らが誤りに気付き、体外に出す処置をした。病院は女児や家族に謝罪。「健康被害はないと考える」としている。
女児は23日夜に来院し、同日帰宅している。
吉岡利昌市民病院医療政策部長は「深く反省し、再発防止に努めていく」とのコメントを出した。」
誤った指示を出した医師に過失があるにはちがいありませんが,気をつけましょう,というだけでは,再発防止は十分ではありません.本件のような誤役薬は,投薬指示の点検システムを検討することで,再発防止につなげることができると思います.診療の補助を行う看護師が,医師の投薬指示の誤りに気づくことのできるシステムであってほしい,と思います.
ところで,志木市立市民病院は,3年前に,整形外科の入院治療を止めたことなどから一挙に収益が悪化し,巨額の赤字を抱えることになりましたが,市長は病院長(小児科医)の経営責任を問い,存続問題に発展しました.
志木市立市民病院改革委員会(委員長 長隆)は,平成24 年2 月24 日,次のとおり報告書で,「市民病院の経営組織の構造上の問題」として,次の6点を指摘しました.
「(1) 経営の効率が悪い
(2) 経営感覚が欠如している
(3) 病院事業管理者の人事権や予算執行権が適切に行使されておらず、責任の所在が曖昧である
(4) 病院の経営管理を担うべき事務職が短期間に異動を繰り返し、医療制度・病院経営の知識を持った人間が育たない
(5) 病院運営の柱である常勤医師の確保ができず高額なパート医に頼りすぎているため、人件費負担が大きい
(6) 価格交渉力が未熟であり、材料比率が高いなど、高コスト体質がある」
言いたい放題ですが,赤字は,基本的に,診療科による構造的なもので,放漫経営によるものではありません.経営感覚が欠如しているなどと非難されるようなものではありません.
上記報告書は, 「100 床のうち45 床が小児科病棟を占めるのが市民病院の特徴であるが、これは経営の面から見ると黒字経営はほとんど不可能に近い。」としています.
赤字部門を切り捨てる,という経営の論理による解決は,医療の公共的役割を無視する暴挙にほかなりません.
谷直樹
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