弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

『たばこ病訴訟と裁判官の責任』

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伊佐山芳郎先生が,「日本の科学者47巻8号」に『たばこ病訴訟と裁判官の責任』を書いています.

伊佐山芳郎先生は,東京地方裁判所平成15年10月21日判決(浅香紀久夫,水野邦夫,内藤由佳)が国際的知見に明らかに反する判断を堂々と述べたのには驚かされた,と述べています.

横浜タバコ訴訟では,審理途中で裁判官が交代し,水野邦夫判事が裁判長となり,東京タバコ訴訟上告審の担当調査官であった宮坂昌利判事が右陪席となりました.
この横浜地方裁判所平成22年1月20日判決(水野邦夫,宮坂昌利,中島真希子)について,伊佐山芳郎先生は,司法が,日本たばこ産業と国のたばこ拡販政策の一翼を担う役割を果たし,問題の先送りをしただけの低レベルの判決であった,と総括しています.

さらに,判決を下した裁判官個人のレベルを超えて,司法のあり方自体が問われた裁判であった,とまとめています.

嫌煙権訴訟,東京タバコ訴訟,横浜タバコ訴訟に原告ら代理人として関与してきた弁護士伊佐山芳郎先生ならではの説得力ある論稿です.ご一読をお奨めいたします.

現在,浅香紀久夫判事はさいたま地方裁判所川越支部長兼さいたま家庭裁判所川越支部長に,水野邦夫判事は山形地方裁判所長兼山形家庭裁判所長に,宮坂昌利判事は東京地方裁判所民事23部総括判事に,内藤由佳判事補は退官し主婦に(幸せの感性を育てる「転ばぬ先のこそだて」の著者),中島真希子判事補は退官し弁護士(東京弁護士会・阿部記念法律事務所所属)に,それぞれなっています.このように,個々人をみれば,良識ある立派な方々ばかりなのですが,主観的には適切な事実認定を行い要件事実にそって判断し正しい判決を下したつもりが,客観的には疫学を無視し非科学的非常識な判決を下してしまったことにより,結果的に日本たばこ産業と国のたばこ拡販政策に荷担してしまったところに,この国の司法の問題があると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-27 09:27 | タバコ