弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

小山市の病院,患者の健康なほうの腎臓を摘出した事故で和解(報道)

2010年2月10日に,小山市民病院の泌尿器科長が手術個所のマーキングを怠り、さらに別の泌尿器科の医師もCT写真を裏表間違えて掲示し,患者の健康な左の腎臓を摘出する,という医療事故が起きました.
この医療事故について,小山市側が患者側に賠償金4200万円を支払うことで合意した,とのことです.

下野新聞「4200万円賠償で和解 小山市民病院のじん臓摘出ミス」(2012年8月9日) は,次のとおり報じています.

「小山市民病院が2010年2月、腎臓摘出手術の際に誤って正常な腎臓を摘出した医療ミス事故は、市側が患者側に賠償金4200万円を支払うことで和解に合意した。8日の市議会議員説明会で同病院が明らかにした。9月議会に議案を提出する。

 市によると、患者は市内に住む男性(72)で、ミスに気付いた同病院が摘出した腎臓を戻す移植手術をしたが、正常に機能せず、別の病院で再度摘出手術を受けた。男性はその後入退院を繰り返し、現在は自宅から通院しているという。事故後の治療費はすべて同病院側が負担している。

 説明会で島田和幸病院長は「原因は皮膚へのマーキングを怠った上、(手術個所を写した)写真の表裏が逆だったことに気付かなかったこと。重大な警鐘と受け止め、各段階での手順確認徹底など、再発防止に努めている」とした。賠償金や負担した治療費は、同病院が加入する病院賠償責任保険から給付されるという。」


治療費のほかに4200万円を支払うという合意です.本件の過失は明らかと思いますが,それでも和解まで2年半かかっています.

【追記】

刑事事件は,次のとおり,それぞれ罰金100万,罰金30万円で決着しています.

毎日新聞「手術ミス:2医師に罰金100万と30万円 小山簡裁略式命令 /栃木」(2012年10月10日)は,次のとおり報じています.

「小山市民病院で患者の腎臓の左右を誤って摘出したとして、業務上過失傷害罪に問われた男性医師2人に対し、小山簡裁は執刀医の男性医師(50)=下野市=に罰金100万円、執刀補助の男性医師(42)=同市=に同30万円の略式命令を出した。2日付。

 略式命令によると、2人は10年2月10日、右の腎臓がんで入院していた男性患者(当時69歳)の手術の際、裏表を逆にしたX線フィルムを見て誤って左の腎臓を摘出し、回復不能の傷害を負わせた。【松本晃】」


谷直樹

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by medical-law | 2012-08-09 22:25 | 医療事故・医療裁判