弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

消せるボールペン

以前は,証拠保全に行くと,カルテ(診療録)に修正液の痕跡があり,裁判官がライトをあてたり裏からすかして見たりして,元の記載を判読していました.
最近は,修正液の痕跡があるカルテは少なくなりました。
私は,カルテに修正液を使用しないよう徹底されたため,と思っていました.

ところが,大阪府警北堺署刑事課に勤務していた男性巡査部長(38歳)が,消せるボールペンで調書を作成し,被疑者が署名・押印した後に,勝手に15カ所書き換えていたことが,昨日報じられていました.この巡査部長が過去に作成した調書には消せるボールペンが使われていた可能性があります.他の警察官も消せるボールペンを使用していたかもしれません.
裁判所に証拠提出される調書などは,消せるボールペンで書かれていないか,点検する必要がありそうです.

消せるボールペンというのは,消色温度が設定されていて,ボディ後部の専用ラバーで擦ることで生じる摩擦熱によりインキの色が無色に変わり,筆跡を消すことができる筆記具です.鉛筆は消せて,ボールペンは消せない,という常識を打ち破った画期的な商品ですが,これが悪用されると困ったことが起きそうです.

特段悪気はなく,きれいなカルテにしたくて,消せるボールペンでカルテを作成している人が絶対にいないとも限りません.
今後,証拠保全のときは,消せるボールペンで書いていないか,裁判官が筆記具のインクを確認することになるのかもしれません.

消せるボールペンは,ないほうがよかったように思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-08-24 02:08 | 医療事故・医療裁判